出版社内容情報
美味しいものと人を結ぶ。それがわたしの仕事だ。深くあたたかい随想録。美しい色。美しい香り。時間をかけ心を尽くして旬を集めることは、わたしの生活そのものだ――。知らない土地に古民家を買って宿のオーナーシェフとなり、各地から訪れる人をもてなすようになった著者。春はふきのとうを摘み、竹の子を掘る。夏は草を刈って桃をかじる。秋は柿を干して鹿肉を焼き、冬は薪を割って柚子を蒸す。12か月の味わい深い物語。
【目次】
内容説明
ぶどう畑に囲まれた築130年の古民家を買い、宿のオーナーシェフとなった著者。「はじまりの12か月」をみずみずしく綴る、短編映画のようなエッセイ。著者が山梨で営む小さな宿《遠矢山房》には全国から人が訪れる。なんてことない顔をして、みんな大した人生を生きている―。四季と人生を深く味わう12章。
目次
十月 あの障子、最高だね
十一月 柿の尻をもむ
十二月 温泉街の大喧嘩
一月 太陽が照らす者
二月 梅の涙
三月 畳の目ひとつの春
四月 山に星座を探す
五月 野良のアリア
六月 デコルテの北斗七星
七月 口紅、夕立、蛍袋
八月 百の顔で土に生きる
九月 読めないハガキ
著者等紹介
寿木けい[スズキケイ]
エッセイスト。大学卒業後、編集者として働きながら執筆活動を始める。2023年に遠矢山房(山梨市)を開業。薪割りから室礼、調理まですべてを手がける。富山県礪波市出身。ふたりの子供と甲斐犬と暮らす(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
kum
26
築130年の古民家に子供たちと暮らし、美味しい料理でゲストをもてなし日々自然に触れる生活。その側面だけ見たらただただ素敵に見えるが、想定していなかった人生の転機に揺れる心を、「ただ目の前の道を這って」立て直してきたこともひしひしと伝わってくる。希望と絶望を繰り返しながらも生活は続き、助けたり助けられたりしながら時間は多くのことを癒してくれる。美しく静かな文章に触れながら、そのことを自分も感じられた1冊だった。2025/10/28
信兵衛
20
本書を読むとそのまま、遠矢山房での暮らしを一緒に過ごしているような気分になり、とても居心地がいい。 気持ちが洗われるような気持ち良さを感じるエッセイです。2025/09/05
うー
18
『たとえ、あるカップルが幸せそうに見えても、不幸せそうに見えても、それで私の幸せが半分に目減りしたり、逆に増えることはない』『お鉢が回ってくる事が人生にはあって、機が熟してそれに見合う器になった人に、見合った時、見合った形で声がかかるように采配されているのだと私はそう思っている』とても丁寧に大切に日々を生きてある。強い人だと感じた。2025/10/11
みやこ
13
山梨県で築130年の古民家を改修し宿を営む文筆家の寿木けいさんのエッセイ。開業からの1年間を、宿で提供した旬の料理とともに綴る。伝え聞いていた憧れの人の近況を、本人から「こんな1年を過ごしていたのよ」と聞かされたような心地がし、嬉しさとともに腑に落ちる思いだった。各章に紹介されている、土地の恵みを生かしたすてきな料理がとてもおいしそうだったし、宿の全景を見てみたいと思った。一方で「根性」でバッハのアリアに挑む姿に親しみも覚え、少し作者と親しくなれたような気持ちになった。生きることは手を動かすことなのだ。2025/08/09
あきこ
4
山梨の古民家に移住して暮らす。そして離婚を経て紹介制の宿を開く。その物語。季節で変わる庭の収穫を活かした献立、訪れる人を思う部屋の室礼はこの場所を大切に思う作者の心を映したようだ。一緒に暮らす二人の子供にも気を配り、地元の人とも交流する。都心で暮らしていた人には目が回るような、全方向に気を配るようで大変そうだが、さらっと暮らしているところもすごい。本業は作家であるが料理もすごい。一度泊りに行ってみたいが紹介制なので残念。でもそのままで静かに存在していてほしい。そんな気持ちのするところだった。2025/11/15
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