出版社内容情報
おれは吸血鬼に会ったんだぜ、本当さ。選考委員絶賛の新潮ミステリー大賞受賞作! 食材として冷凍されていた男が生き返り、おれは咬まれ、殺されかけたわけだけど、冷静に考えるに最初から仕組まれていたんだ――。銀翼戦争後の北の街を、解体師のオズヴァルドと美少年ルカ、白髪の殺し屋エヴェリスたちが駆ける! 驚異の筆力と世界観で、選考会をぶっちぎりで勝ち上がった圧倒的ヴァンパイアミステリー。
内容説明
信じちゃくれないだろうが、おれは吸血鬼に会ったんだぜ。銀翼戦争で36人も殺したオズヴァルドは、いまは会員制の「高級料理店」で解体師として働かされている。食材が入った棺を開けると、金髪のルカが碧い瞳を開いた。瞬間、喰われた。助かるためには、ルカの双子の妹アンナの血が必要だ。しかし、彼女は何者かに攫われて行方知れず。アンナの行方を追うオズヴァルドとルカは、元王女で殺し屋のエヴェリスと共に、闇の世界を駆ける!驚異の筆力と世界観で選考会を圧倒した規格外のデビュー作!はずれ者たちが追い求めるのは永遠の命か、刹那の血か。ヴァンパイアミステリー開宴!第11回新潮ミステリー大賞受賞作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
パトラッシュ
151
特殊設定ミステリ全盛期とはいえ、大戦争を経て吸血鬼の存在と人肉食が当たり前になったイタリアが舞台とは。VRやタイムトラベルより理解しやすいとはいえ、さすがに考えすぎかと思えたが意外と読み応えはあった。次々と人が死んだり死体解剖などグロな描写も目立つが、よく作り込まれた世界観がドラマを支えている。語り手を始めとする登場人物の書き分けもしっかりしており、異常と正常が逆転した世で必死に生きる人びとの心情が迫る。正直ミステリ風味は薄いが、他に真似のできない想像力は見事だ。むしろSF系ホラー作家として期待できるか。2025/05/10
yukaring
74
「あんたは信じちゃくれないだろうが、おれは吸血鬼に会ったんだぜ」という冒頭のセリフから引き込まれる物語。舞台は好事家に人肉を食べさせる会員制の闇のレストラン。この店で解体師として働くオズヴァルドは過去に戦争で36人を殺した強者。しかしある日食材の箱に入ってやって来たのは金髪碧眼の美少年ルカ。彼に噛まれたオズヴァルドは自分が助かるためにルカの妹探しを手伝うことになる。行方不明の妹アンナの足取りを追って闇社会を走り回る2人。協力者も得てたどり着いた真相とは…。ゴシック調の世界観が魅力的なヴァンパイアミステリ。2025/04/08
itica
62
何十年も続いた戦争で荒廃した西側(かどうか定かではないが)のある国の会員制レストランで肉の解体をしている男が、冷凍から目覚めたバンパイアに咬まれてしまったことで巻き込まれる騒動。カバーの美少年に一瞬コミックかと思ったけれど、この内容では絵で表現するのはまずい箇所もありそうだ。バンパイアものと言っても次々バンパイアが登場する類の物語ではなく、親子愛、兄妹愛、そして善き未来への希望を捨てず生きることの尊さを謳っているように思う。ありきたりじゃない世界観を望まれる方にお勧めかと。 2025/04/24
sin
52
平山夢明が描いたプロの殺し屋が集う会員制ダイナーの秩序と混沌とは違い、永く続いた戦乱に麻痺してしまった社会にマフィアが運営する人肉食に堕ちたレストラン、そこに運びこまれた食材を巡る物語⋯ヴァンパイアを巧みに使って語り手の戦争経験者である解体師を、いや読者を振り回す手管は見事だ。戦争と云う悪行、社会における孤児たちの悲劇を背景にノワールな物語が繰り広げられていく、これほど悲惨な状況に於いて最後の落とし所に甘さを感じてやまないが完成度の高い物語だ。しかし語り手は何故?誰に向けてこの体験談を語ったのであろうか?2025/03/30
shio
37
ゴシックホラーな雰囲気が漂う、美しくも残酷なストーリー!戦争で何十人も殺した殺人鬼オズヴァルドが語るのは、少年吸血鬼との出会い。血を吸われたオズヴァルドが助かるためには、行方不明の吸血鬼の双子の妹が必要になる。秘密の料理を出す会員制のレストラン、犯罪組織に雇われた怪しいオーナー、元女王の殺し屋など、個性際立つキャラクターたちの作り出す世界が美しい。いつの間にか騙されていたとは思わなかった!!永遠の命を得られるとすれば、どうするか?愛のために究極の選択を迫られるヴァンパイア・ミステリー!2025/03/05
-
- 電子書籍
- 御手洗家、炎上する プチキス(18)
-
- 洋書
- Fated Love