出版社内容情報
文学として読む。音楽として味わう。650年の古典の神髄に触れる美装本。能とは、こんなに面白いものだったのか! 精選十曲の詞章+現代語訳+英訳+解説で650年の古典の神髄を味わい尽す。柴田元幸氏との鼎談「謡を英語にする醍醐味」、酒井雄二氏(ゴスペラーズ)との対談「世阿弥に学び、「芸人実感」で謡を考える」も収録。光悦謡本の装画&スリーブ函入、和綴の謡本を模した全頁小口袋綴造本。
内容説明
能という「文学」を、テキストで深く読む喜び。能は、これほど面白いものだったのか!文学として、音楽として、650年の古典の真髄が甦る。初心者には知る躍動を、上級者には耽る悦楽を。いとうせいこうの現代語訳をジェイ・ルービンが英語訳。鼎談(柴田元幸氏)、対談(酒井雄二(ゴスペラーズ)氏)も収録。
目次
その一 『高砂』
その二 『忠度』
その三 『経政』(経正)
その四 『井筒』
その五 『羽衣』
その六 『邯鄲』
その七 『善知鳥』
その八 『藤戸』
その九 『海人』(海士)
その十 『山姥』
“鼎談”謡を英語にする醍醐味 柴田元幸&ジェイ・ルービン&いとうせいこう
“対談”世阿弥に学び、「芸人実感」で謡を考える 酒井雄二(ゴスペラーズ)&いとうせいこう
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
buchipanda3
106
「能は読むのが面白い」。著者二人は能を文学として読む魅力を語り、現代語訳と英訳を収めている。確かにいきなり観劇は敷居が高いが、読みからならばと思い手に取ってみた。webにも既訳はあるが著者たちの思いを感じたかった。いずれの曲も読み易く、かつ主題を捉える文学的愉しさを味わえた。英訳では副題が付けられ、そこに内容が凝縮されている。例えば羽衣はLonging for Trust。巻末に柴田元幸氏を交えた鼎談があり、テキストのリズムを大切にする、テキストに寄り添う、そこを起点に能の面白さに気付くのもありと思えた。2025/01/04
Qfwfq
2
副題に「新しい能の読み方」とあるように、能の詞章を、まさに“読む”、という書。室町時代に成立した古典をいかに現代日本人に読ませるか。この難題に挑んだのが、ジャンルを問わず多方面で活躍するいとうせいこう氏。その才のひとつ、ラッパーとしての活動ほど世阿弥が持つ音楽性を今に甦らせるに相応しい者はそうはいまい。そして、この現代語訳を英訳したジェイ・ルービン氏にしても、ミュージシャンを諦めて翻訳家になったという御仁。彼の英訳も愉しいに違いない(たぶん)。いとう氏による「訳し返し」も是非とも読んでみたいものだ。 2025/02/24