出版社内容情報
ひたすら麻雀を打ち込むことで、ようやく人の平衡を保つ男達がいる。『麻雀放浪記』以来の傑作! 雀荘「迎賓館」には並外れた技量の打ち手が集まる。枯淡の老経営者、飲食チェーン取締役、広告会社局長代理、記憶システムが異様な高校教師。仲間内のゲームに飽き足らず、敢えて鉄火場に挑んだ国立大生・結城は、強者達の雀卓を凌げるのか。勝負の果てに、彼らは何を失い、何を得るのか。ギャンブル小説の新たなる金字塔。
内容説明
勝者も敗者も何かを失い、何かが壊れていく。雀荘「迎賓館」には並外れた技量の打ち手が集まる。枯淡の法務事務所オーナー、飲食チェーン取締役、広告会社局長代理、記憶システムが異様な高校教師。仲間内のゲームに飽き足らず、敢えて鉄火場に挑んだ国立大生・結城は、強者達の雀卓を凌げるのか。
著者等紹介
大慈多聞[ダイジタモン]
長く広告業界に身をおいていた以外の詳細は非公表(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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KAZOO
94
今まで麻雀人口が減ってきたようですが、この2年間は増えているようです。コロナの終息と、ご年配の女性がボケ防止の観点から始められているということと、小学生がかなりやっているということのようです。この小説は麻雀小説とはいうものの、昔の麻雀プロが主人公の話ではなくある雀荘に集う人物たちの過去の生きざまなどが語られます。雀荘がある意味中心的な役割を果たしていてその雀荘が閉じていくということで話が終わります。ただマージャンをよく知っている人が対象でしょう。2024/06/22
キク
52
西原理恵子が30年前に描いた「まあじゃんほうろうき」にヘビ男とか博報堂とか呼ばれる広告代理店社員がいた。一介のサラリーマンなのに、トップ雀士や西原と一軒家が買えるくらいの金額を賭けていた。その人がこの小説の作者になる。性や金という視点から人生を捉えている人はたくさんいる。でも、この小説の登場人物達は麻雀をとおしてしか世界を観ていない。少なからず狂っているけれど、その優秀さでギリギリ人の形を保っている。登場人物の広告代理店社員はたぶん作自身が投影されている。人の欲と己の矜持の間の細い獣道をサラリと歩いていく2024/07/11
rosetta
29
★★★✮☆初読みの作家さん。文体もサクサクとはいかないし、もうちょっと説明が欲しいなぁという箇所も多々あったけど、なかなか楽しめた。青物横丁辺りの寂れた商店街にある誠実な老婦人が営む二十年以上続く雀荘。ここに集う学生たちや初老に差し掛かった人生の達人たち。メンバーの広告代理店やパスタのフランチャイズの仕事が語られたりもするけど、半分は雀荘でのやり取り。麻雀牌の図なんかも出てきて麻雀知らない人にはツライだろう。真面目に雀荘を経営するのは毎日牌を磨くなど掃除からして大変だあ。唐突な終わり方も余韻があっていい2024/06/07
みつちや
15
館もの推理小説っぽいですが、配牌図があり麻雀知らないと面白くないでご注意を。積み込みやサクラはなし。賭けてますがギャンブルより真剣味のため。引用の幅広さから作者が賢いのは間違いないのだが、飄々としてるのに親切なのか不親切なのか、冗談なのか本気なのか。老獪さも垣間見える。最後はやり過ぎと思うが勝負師たちの鉄火場の場面は独特の空気感が表現されていたと思う。麻雀小説を読むのは初めてだったが楽しかった。専門用語を文字で読むのがこんなに頭に入らないとはね~。2024/09/04
アプネア
13
麻雀は数あるゲームのなかでも、素人が玄人を刺せるものだと思う。それは運の要素が強いから。ただ、このゲームは人の性格が滲み出る。押すか引くかの場面、そこに人生における、あらゆる岐路での選択が見えてくる・・・。面白かった。麻雀を通した人間群像劇、特に、ビジネスマンの心情が印象に残る。日頃の業績、数字、地位に縛られ、この雀卓でも、自分を押し殺さざるを得ない。我慢、捌きといった打ち筋に、雇われ者の悲哀を感じるが、それでも、諦めずに勝ち筋を目指す姿勢が共感を呼ぶ。2024/06/27
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