出版社内容情報
映画・音楽・小説、3ジャンルを越境した活動で注目される異才の初の小説! 東京から遁走して着いた四万十川の辺は、生死の境を越えた聖なる空間だった。――流される日々の中でみた夢。祖父が晩酌の時間にこぼす愚痴。母の洗濯物を干す音。父の風呂場から聞こえてくる音痴な歌。十数年の生死の記憶が詩的な言葉で鮮やかに蘇る。青山真治が「最後の映画作家」と激賞した逸材が放つ心を揺さぶる世界!
内容説明
東京から遁走して着いた四万十川の辺は、生死の境を越えた空間だった。映画、音楽、小説を越境するBialystocksのVo.の初めての小説!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
チェアー
5
病の母と祖父。やがて来る別れを予期し、向き合いたくない気持ちを抱え、日々を過ごす。私たちは誰もがだれもと別れなければならない。だが、そんな日が来ないかのようにして、日々生きている。欺瞞を抱えながら、どうすれば毎日をやり過ごすことができるのだろう。言葉の密度があまりにも濃くて、ゆっくりと読んだ。2023/12/17
S
1
渋谷SPBSでのイベントにて購入、その場で甫木元さんに名前入りサイン頂けてとても嬉しかった…! 序盤、甫木元ワールド全開で面白かった。所々ビアリの曲の歌詞も。 自然の描写が豊かで、風景を想像しながら読むのが楽しかった。土佐弁や四万十川周辺の様子、植物についてたくさん知れた。 あと、カタカナがよく出てきて昔の小説みたいな読み心地だった。 お母様の18年前のお手紙が素敵。 映画の方はかなり抽象的なので、小説版読んでからにして良かった。 Quicksandの曲たちに対する理解が少し深まった、気がする。2024/09/21
ナオミ
1
Bialystocksのライブ物販で購入。映画監督で小説も書いてる音楽家、という認識で創作として読み進めていたら、人生の手触りが生々しく伝わる私小説だった。ずっと先だと思っていた死別の未来をかなり近々で告知されたら、残された時間をどうやって過ごそう。伸縮する時間の引き延ばしを願う日々。イマジナリーフレンドも爺さんも飄々としているようで、全身にかなしみを纏っている。高知の景色とその日を迎えるまでの心の移ろいが丁寧な筆致で記録された純文学だった。水には記憶が織り込まれていてそいつが夢を見せるらしい。本当にね。2024/06/30
goMi
1
再読2024/06/05