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出版社内容情報
発見の鍵を握るのは、行方不明者の「癖」。プロファイリングによる捜索実話。「せめてお別れだけでもしたい」――いくら探しても見つからないという家族から依頼を受け、著者は山へ向かう。たとえ身近な低山でも、運命の分かれ道は登山道の随所に潜んでいるのだ。家族のケアをしながら丹念に話を聞き、プロファイリングで消えた足跡を辿る6つのエピソード。予防と早期発見に役立つコラム付き。?
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
けんとまん1007
102
以前、よく山行をしていたので、山の素晴らしさと共に、その怖さも感じている。山の中では、人は、時に意外なほど脆い存在となる。得てして、何故?という所であり、時であることもある。そんな遭難捜索の現場で、何を感じ何を考え、どう行動されているかを知し、頭が下がる。特に、ご家族に寄り添うという視点と、丁寧なプロファイリングが、なるほどと思い、これは、山岳遭難に限らない視点だと思った。2023/08/06
キムチ
56
新刊コーナーで見つけ、耽読。ハイクから始まった山歩きはどんどん深みに入り、いつの間にやら登山、岩稜歩。作中の山域はいくつか歩いたこともあり、臨場感はとてつもない。筆者の語りがとても滑らか、巧みで読み易く、共感を湧き立たせる。体力的に今年からペースダウン、単独行がメインになってきているので、「道迷い」の『運命の分岐点』はグサッと頭に刺さった。焦燥、疲労、不安、迫る暗闇等など「当事者」でしか判りえない運命の一瞬。。陽の目にさらされた姿は惨いが菩提を弔ってもらえる。自然の中で眠ったまま旅立った方々へ合掌2023/10/28
goro@the_booby
53
jROからのお勧めで手に取りました。1次の捜索でも見つけられなかった人の家族からの依頼で2次捜索を行う民間の山岳遭難捜索チームの過去の事例で構成されてます。必ずどこかに居ると信じて僅かな手がかりを元に何度もチャレンジする人達がいてくれたんですね。不明の場合は7年経たないと失踪認定されないが、もうひとつ「危難失踪」という道があることも知りました。残された家族にとっては辛い日々だと思いますが寄り添ってくれる人がいる事は救いでしょう。登山届や山岳保険は必ずね!チームの皆様ありがとうございます。2023/05/15
まるぷー
26
救命救急センターの看護師だった著者が山岳事故で搬送される患者に立ち会い、そして山岳救助の講習会に参加したことがきっかけで山岳遭難捜索チーム(LiSS)を立ち上げる。LiSSで出動したうちの6件の捜索の体験を掲載。1000m級の里山でも山岳遭難は起き得る。道迷い、体長不良、急激な天候変化、滑落など原因は様々。登山計画書がない場合はその捜索は広範囲、長期になり費用も嵩む。山岳保険未加入ならば家族の生活にも影響を及ぼすが、家族の心情も慮る。年間200人以上が山岳事故でなくなるという。やるせない思いがした。2023/08/02
あきひと
24
民間の山岳遭難探索団体Lissを18年に立ち上げた筆者が、遭難者家族からの情報をプロファイリングに活用し、遭難者の発見につなげている事例を紹介している。 元々山の経験のない看護師だった筆者だが、遭難が起きる原因に疑問を持って現場へ連れて行ってもらったところ、たちまち二人の遭難者を発見してしまう。警察主体の遭難探索で見つけられなかった遭難者たちだ。へえースゴイと思って読み進めていくと、なるほどと頷ける。LiSSと中村富士美さんのことを自分の家族や山友だちに情報共有しておくべきと思った。何かあった時のために。2024/07/09