幽玄の絵師―百鬼遊行絵巻

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  • サイズ 46判/ページ数 248p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784103528517
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0093

出版社内容情報

室町の闇に謎の怪異が現われる……血塗れの女、影喰らい、笑い小鼓、鬼。異能の絵師光信が見極めた妖物の正体とは。個性際立つ傑作。

内容説明

異能の絵師土佐光信は、将軍足利義政から人心を惑わす妖異の謎を解くよう命じられる。御所をさまよう血塗れの女、奇怪な呪詛屏風、影喰らい、笑い小鼓、人の悲しみから生まれた石…。果たして彼が見極めた化生の正体とは。人の言霊や将軍の願望を餌に、争乱の気配にほくそ笑む「鬼」とは。混沌を極める百鬼夜行の時代を描く傑作。

著者等紹介

三好昌子[ミヨシアキコ]
1958年、岡山県生れ。嵯峨美術短期大学洋画専攻科卒。第15回「このミステリーがすごい!」大賞・優秀賞を受賞し、『京の縁結び 縁見屋の娘』でデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

いたろう

73
著者初読み。室町時代、8代将軍・足利義政の治世。飢饉と疫病で多くの死者が出ている大変な時代にあって、大金を投じて義政が再建した室町御所には、妖物が巣食っている。その妖物を調べるのは、陰陽師でも祈祷師でもなく、大和絵の絵師・土佐光信。この土佐光信は、百鬼夜行絵巻を残した実在の絵師であるのが、いかにもで興味深い。何故か人には見えない妖物が見える光信が、どう妖物に対処するのか。妖物と言っても、必ずしも悪鬼ではなく、共感を誘う存在も多い。怪異譚であっても、怪談ではない、幻想的な物語。著者の他の小説も読んでみたい。2020/04/06

buchipanda3

55
室町中期の京都を舞台とした妖し奇譚。将軍義政に仕える絵師・土佐光信は怪異なものが見えてしまう。それゆえに将軍の邸宅・室町殿に現れる妖怪とおぼしき存在の謎を解いていくことに。その謎は様々な感情や願いがもたらしたもので、妖しの怖さというよりも、情念を抱える者が見せる秘めた想いに淡く切ないものが感じられた。むしろ人を不幸にする人の業の方が妖異なものではとの対比が興味深い。終盤の妖童子の言葉はその意味合いの不気味さを一層のものに。派手さはないがどの話も丁寧な作りで雰囲気があり、光信の人柄にも惹かれた。2019/10/22

よこたん

47
“人の為す陰謀よりも、妖物語の方がよほど気が楽だ” 足利義○の時代はこんがらがってよくわからない。似たような名前やめて欲しいといつも授業で思っていた。権力争いの陰でうごめくものの正体は何なのか。この世のものならぬ怪異をこれ幸いと隠れ蓑として、他者を陥れようとするのは卑怯ではないか。風、花、雨、鳥、影、嵐、終の段と、目次が素敵。梨の木の精、鯉に姿をやつした雨主、月を映す鏡の精、そして願いを叶えるという妖童子。切ない気持ちになったり、ぞっとしたりだったが、おどろおどろしさは控えめ。人間の方が余程こわかった。 2021/08/16

星落秋風五丈原

40
実在の絵師を主人公に据えた応仁の乱前夜。頼りない将軍ではなく美に関する感覚がするどい義政。しかし妻近辺がきなくさい。2020/08/16

パトラッシュ

35
人ならざるものが見えてしまう者が、夢と現世の境目を行き来しつつ人の本性を描き出す江戸読本以来の小説ジャンルに新たな一冊が加わった。政治的混迷が深まる応仁の乱前夜という黄昏の世を舞台に、主人公である幕府御用絵師の土佐光信を媒介に飢餓と疫病に苦しむ庶民と政治を放置し贅沢に耽る将軍義政とが結びつき、その断絶を露呈させる。光信のキャラが明るいため異形なるものも『雨月物語』ほど暗黒世界の住人ではないが迫力には欠ける。むしろ「嵐為天心、乱為君心」たらんとする義政の異形ぶりを前面に出したほうが面白くなったのではないか。2020/01/07

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