内容説明
織井沢子は、夫の昔の恋人で画家の兵頭珠江の描いた「潮を抱く家」に夫との秘密を知る。沢子もまた誰にも知られず燃え上がった過去の恋の苦しみを忘れられずにいた。遭難してさまよう七人の霊が次の人を海に引き込むという故郷に伝わる「七人みさき」の言い伝え、義母から明かされる戦争ゆえの結婚の悲劇、苛酷なシベリア抑留の記憶…。さらに思いもかけぬ珠江の真実が沢子の胸を突く。―東京と四国を舞台に、親子夫婦の不思議な縁と、切ないまでの人間の生き様を描く長編小説。
著者等紹介
梅原稜子[ウメハラリョウコ]
1942年愛媛県生まれ。早稲田大学文学部卒。中央公論社に編集者として勤めたあと、執筆活動に入る。1984年『双身 四国山』で平林たい子文学賞、1997年『海の回廊』で芸術選奨文部大臣賞を受賞。血縁や夫婦の情愛をテーマに格調高い文章で小説を書き続けている。故郷の四国を舞台にした小説も多い
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