内容説明
浮気を疑われている、生活費が底をついた、原稿が書けない、酒で失敗をやらかした…。人生最大のピンチを文豪たちは筆一本で乗り切った!愛すべき文豪の「ダメぶり」と「弱さ」を読む。
目次
第1章 男と女の恋の言い訳
第2章 お金にまつわる苦しい言い訳
第3章 手紙の無作法を詫びる言い訳
第4章 依頼を断るときの上手い言い訳
第5章 やらかした失礼・失態を乗り切る言い訳
第6章 「文豪あるある」の言い訳
第7章 エクスキューズの達人・夏目漱石の言い訳
著者等紹介
中川越[ナカガワエツ]
1954(昭和29)年、東京都生れ。中央大学文学部を卒業後、雑誌・書籍編集者を経て、執筆活動に入る。手紙に関する著作が多く、古今東西、有名無名を問わず、さまざまな人物のものを広く閲覧し、そのあり方を探求しつづけている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
タイ子
81
さすが文豪たちの言い訳。言い訳をしなければいけない事由においては、恋愛であったり、お金、失態、断りの場合など珍しくない事ばかりなのだが、何せ文豪が書くからすごい。文章の上手さだけで逃げ切れるのはいいよなぁ、なんて思ってしまう。宮沢賢治が親に借金の依頼をしたときなんか、あの「雨にもまけず・・・」なんてどこから出てきたんだと思わせるヘタレな甘えん坊さん(笑)。イメージしていた文豪の実は…な顔が見られて面白い。文豪だって人の子、漱石さん、龍之介さん、太宰さん、み~んな人間だもの。でも、凡人の言い訳に一利なし。2020/10/07
Willie the Wildcat
74
培った人間性と表現力次第で、相手の受け取り方に差異。筆頭に漱石氏。脱税の件は笑うしかないが、未知の面会者の件が私なら、もれなく速攻で山房行ってるかな。文豪という意味で印象的なのが、泉鏡花氏。中身を忘れさせる清楚で、平安の古が滲む文面。対照的なのが樋口女史。日和る男性陣とは比較にならない胆力!?興味深いのが、中勘助の謝辞と啄木氏の無沙汰。前者は、皆が理解不明な詫びの理由。後者は、非論理性を論理的に感じさせる力。これも文豪たる所以也!言い訳ではなく生活の知恵、潤滑油かな。2019/08/14
那由多
32
文豪の書簡を中川氏の解釈で読む。誠実さの芥川と小林多喜二、偉そうなゲスの直木三十五と林芙美子。雨ニモマケズ精神に感動してた子供時代を返せと抗議したい、お坊っちゃま宮沢賢治。結婚生活破綻してる兄に、結婚の相談しちゃダメだよの谷崎潤一郎の弟。時代のせいにしちゃうお前はイマドキの若者か、の新美南吉。不快にさせない謝罪文が参考になる夏目漱石。酔っ払い中原中也の「一人でカーニバル」パワーワードだった。末尾にこれさえ付ければ、相手も吹き出して不問にされるはず。2019/09/12
メタボン
27
☆☆☆★ 美文調の泉鏡花、人間臭い石川啄木、太宰治、巧みに人心を操る夏目漱石など、文豪の手紙には、ほれぼれとさせられる。2019/05/30
trazom
26
文豪たちが、手紙で、どんな言い訳をしてきたかが、男女の恋の言い訳、お金にまつわる言い訳、手紙の無作法の言い訳、依頼を断る言い訳、やらかした失礼の言い訳、「文豪あるある」の言い訳、エクスキューズの達人・夏目漱石の言い訳の7章に分類して紹介されている。確かに、石川啄木、太宰治、中原中也の不誠実さ、志賀直哉の尊大さ、藤沢周平の謙虚さなど、作家の本質を髣髴とさせる部分もあるが、取り上げられているのは手紙の断片でしかなく、著者の解説も、言葉尻をとらえたような些末な説明に終始していて、この本は、ちっとも面白くない。2019/05/09