出版社内容情報
「まるで春の超絶って感じ」1頁先が予測不可能、生活自体を経験する小説。渋谷の隣、代官山の古い一軒家で父と暮らす椿は二十歳になったばかり。バイト代はほぼ服に費やし、友達に囲まれ、彼女ができたり振られたりの一見刺激的な日々。だがそれはいつまで続くのか。果たして「生活」と言えるのか――文芸の最先端を突き進む作家による、偶然と必然に彩られたジェットコースター・ストーリー。
内容説明
代官山生まれの椿は古い木造家屋に小説家の父と住んでいる。雑誌編集者の母は最近家を出て椿もよく知る若い恋人と住み始めたらしい。自身はバイト代をほぼ服に費やし、彼氏がいるバイト先の店長と付き合っている。スタイリストの見習いをしたこともあったが長続きせず、安穏と暮らす日々。だが、それはいったい生活と言えるのか―。川端康成文学賞、織田作之助賞、芸術選奨―近年さらに注目され、小説を更新し続ける作家の最新作。
著者等紹介
町屋良平[マチヤリョウヘイ]
1983年、東京生まれ。2016年、「青が破れる」で文藝賞を受賞しデビュー。2019年、「1R1分34秒」で芥川龍之介賞を受賞。2022年、『ほんのこども』で野間文芸新人賞を受賞。2024年、「私の批評」で川端康成文学賞を受賞。同年、『生きる演技』で織田作之助賞を受賞。2025年、『私の小説』で芸術選奨文部科学大臣賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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kei302
43
田中椿 つばくんの生活。住む家を整えながらバイト生活、お洋服が大好き、墨を擦って筆で半紙に字を書きたい衝動ときどき、珈琲を淹れるのが上手な20歳。かれの「生活」は突然奪われ、命の危機に陥る。後半はかれの再生の物語。椿と桜と猫2匹の生活がこの先もつつがなく過ぎてゆきますようにと願わずにはいられない。椿が事件後取り組むようになったコンタクト・インプロヴィゼーション、合唱関係者でもブームになってワークショップに行ったよ。脱力する・身を任せる・相手を感じる・自他の意識が流動共鳴する。この本のテーマかな。2025/06/17
信兵衛
15
正直なところ、これといったストーリーは無いようでいて、いやあるようでもあり、何を軸として読んでいけばいいのか掴み切れず、 400頁を越える本長篇を読むのはシンドかったです。2025/06/29
toshi
8
文章が長いうえ、たまに破綻していてとても読みにくい。 読みにくい文章を何とか解読するも、結局なんだか良く分からない。 この人の本は何冊読んでも面白いと思えるものが無い。2025/06/09
スエ
4
乱暴に言えば、横道世之介のような主人公だ。世之介をより哲学的に表現したような、やや面倒な作品ではある。21歳フリーター実家暮らし、バイト代はほぼファッションに費やし、珈琲をいれるのが得意で、気持ちが高ぶると墨をすってひたすら書道。という、変わり者の物語。癖の強い文体なので、途中離脱する人も多かろうが、読み進めていけばむしろ癖になる。能天気な主人公だが、自己という芯がぐにゃっているだけに他者との境界が曖昧で、自然体ゆえの不器用さが愛おしくもある。前半は良かったが、後半の急転はちと性急すぎた気もするなぁ。2025/06/30
chuji
2
久喜市立中央図書館の本。2025年5月初版。初出「新潮」2022年6月号~23年2月号、23年10月号~24年5月号、7月号~10月号。町屋さんの著作は十一冊目で好きな作家さんですが、今回は途中断念です。2025/07/05