出版社内容情報
第160回芥川賞受賞作
なんでおまえはボクシングやってんの? 青春小説の新鋭が放つ渾身の一撃。
デビュー戦を初回KOで飾ってから三敗一分。当たったかもしれないパンチ、これをしておけば勝てたかもしれない練習。考えすぎてばかりいる21歳プロボクサーのぼくは自分の弱さに、その人生に厭きていた。長年のトレーナーにも見捨てられ、変わり者のウメキチとの練習の日々が、ぼくを、その心身を、世界を変えていく――。
内容説明
デビュー戦を初回KOで飾ってから三敗一分。当たったかもしれないパンチ、これをしておけば勝てたかもしれない練習。考えすぎてばかりいる、21歳プロボクサーのぼくは自分の弱さに、その人生に厭きていた。長年のトレーナーにも見捨てられ、現役ボクサーで駆け出しトレーナーの変わり者、ウメキチとの練習の日々が、ぼくを、その心身を、世界を変えていく―。第160回芥川賞受賞作。
著者等紹介
町屋良平[マチヤリョウヘイ]
1983年東京都生まれ。2016年『青が破れる』で第53回文藝賞を受賞。2019年『1R1分34秒』で第160回芥川賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
616
町屋良平はボクシングの経験があるのだろう。経歴からすれば本格的に取り組んでいたとは思われないが、雑誌『新潮』に「ボクシングと舞踏」と題する随想を寄せていることからすれば、少なくても関心は高かったようだ。タイトルは各ラウンドを3分間で闘うボクシングの持つ独特の切迫感をよく伝える。文体もスピード感に溢れ、主人公の想念の連鎖に否応なく読者を巻き込んでいく。身体性を言語化してゆくのであるが、そこに紛れ込む雑念が小説をさらに立体的なものに構築する。アパートの部屋の閉塞感は、そのまま主人公のメタファーでもあるだろう。2020/09/18
starbro
415
第160回芥川賞受賞作・候補作シリーズ第二弾(2/6)です。町屋 良平、第159回 芥川賞候補作「しき」に続いて2作目です。ボクシング青春小説としては、佳作だと思いますが、純文学?、芥川賞受賞?といった感じです。個人的には「ニムロッド」1作受賞で良かったと思います。またボクシングが嫌いな方には勧めません。続いて、候補作「戦場のレビヤタン」へ。2019/02/25
zero1
287
ボクシングの話が芥川賞というのは記憶にない。主人公はデビュー戦をKO勝ちした後、引き分けを挟んで負けが続く。トレーナーとしてウメキチが登場するが反発。主人公に明日はあるか?減量や心理描写など、描きたいものは理解できるが、選考委員たちが述べるような長所を感じなかった。小説としてカタルシスも不足していると見た。ひらがなが多いのは狙ってわざとそうしているのは理解できるが、文章が光っているとは思えない。この点だけでも賛否が割れるだろう。短いので、いつか再読したい。2020/03/27
kou
283
対戦相手を調べすぎて、気付いたら妄想で友達になってしまう・・・凄い発想だと思う(笑)。主人公の心の葛藤は分かる部分もあり、考えさせられてしまった。2019/03/17
抹茶モナカ
270
芥川賞受賞という事で手に取った。インファイト型のボクサーの話で、不思議と文体もファイター型のもののように感じた。朴訥で、文章がドライヴする感じでもなく、正直読みづらいのに、強烈なリアリティ。スポーツが題材の純文学というのも珍しくて、なかなか個性的。ラストの畳み込む感じが凄かったけれど、そこは想定内のような気もした。この小説は途中から、どう着地するのかに焦点が定まって行くような所があって、着地点を確認するために少し難読な文章を追う感じになる。今後、この作家がどんな作品を書くのか、ちょっと想像がつかない。2019/02/22