出版社内容情報
期待もせんと絶望もせんと、それでも人は生きていける――。予期せぬ展開に心揺さぶられる、著者史上最長編の感動作! マスク生活2度目の春を過ごす、32歳・漫画家志望のナツコ。社会の不平等にモヤモヤし、誰かの何気ない一言で考えをめぐらせ、ナツコは「いま」を漫画に描く。描くことで、世界と、誰かと、自分と向き合えるから。“わかり合える”って、どうしてこんなに嬉しいんだろう――。自分の「好き」を大切に生きる、「あなた」に贈る物語。
内容説明
期待もせんと、絶望もせんと、それでも人は生きていける。32歳・漫画家のナツコが描くのは、自分の「好き」を大切に生きる、「あなた」に贈る物語。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
Ikutan
76
父親とふたり暮らしの漫画家ツユクサナツコさん。ドーナツ店でバイトしながら、日々のできごとをヒントにインスタで漫画を描いている。そんなナツコさんのコロナ禍の日常と作品が交互に描かれ、ミリさんらしい感性に、はっとさせられたり、クスリと笑ったり。そして、いよいよ漫画連載の話も持ち上がり、ワクワクしてたら、えーっ!と驚かされた。だから、このタイトルだったんですね。第四話の「盆栽」のラストは笑った。作中作品では『パロの1日』がお気に入り。ミリさんの本で、持ち歩くのが重たい、こんなハードカバーの作品は初めてかも。2023/09/21
りぃぃ
74
コロナ禍こんなんだったよねーと懐かしみながら、いつも通りのほほーんと読み始めて… あまりの衝撃に後半は涙が止まらなかった。2024/08/16
sayuri
71
第28回手塚治虫文化賞短編賞受賞作品。読んだ人が口々に衝撃を受けたと言う本作。展開を想像し、ある種の覚悟を持って読み進めた。主人公は32歳・漫画家のナツコ。昼はドーナツ店でアルバイトをし実家でお父さんと二人暮らし。と、ここまではいつものミリさんの何気ない日常を描いた物語と大差ない。けれど行間から漂う死生観。日々時間に追われ、その日のノルマを果たす事にばかり気持ちがいく余裕のない心に改めて気付かされる。17話で衝撃を受け、最終話で涙が溢れた。明日も生きている保証なんてない。命は有限である事を突き付けられる。2024/06/24
nonicchi
66
後半に衝撃の展開!という触れ込み、このほのぼのマンガのどこに?と思っていたら、見事にやられました。泣きました。まさかそんな…。ナツコの紡ぐお話は、自分の周りのちょっとした出来事、事象をナツコなりの視点と間で独特の世界を作り上げていた。「読む前と読んだあとでは、わたしの世界の質量はちょっと違う気がする」ホントにそう。コロナの頃を忘れつつある今、あの世界を思い出させてくれる意味でも貴重な一冊。わすれないよ。2024/05/19
ぶんこ
65
ドーナツ屋さんでバイトするコロナ禍のナツコさん。まだ収束はしていないけれど、どうにか学生さんたちも通学したり、部活に励むことが日常になりました。リタイヤしている家では影響はあまりなかったのですが、確かに子どもたちは可哀想でした。貴重な子ども時代の思い出が、コロナで埋まってしまうなんて。ゆったりのナツコさんの日常も、ある日突然こんな終わりをむかえるとは。一緒に暮らしていた娘だけに、お父さんの哀しみを思うと胸が詰まります。まさか、ほんわか漫画が、これで終わったのでしょうか?2024/03/31




