出版社内容情報
『思い出のとき修理します』著者が描く、なつかしい物語のつなぐ優しい縁。契約社員の野花つぐみは、お菓子レシピが隠された『小公女』の古書を見つける。それは不思議な老女・メアリさんの遺品だった。「ぶどうパン」「トライフル」「アブラミのお菓子」……つぐみの本探しと菓子作りはやがて、簡単にやり直せない過去を抱えた人々との優しい縁を結び始める。じんわり涙がこぼれる6つの連作集。
内容説明
子供のころ、誰もが読んだ優しい物語が今の私の心に大切なことを思い出させてくれる―。契約社員の野花つぐみは、実家の本棚でお菓子レシピが挟まった、見慣れない『小公女』の古書を見つける。それは不思議な老女・メアリさんの遺品だった。どうやらその本はつぐみだけでなく、この街の様々な人に届けられているらしい。『小公女』の「ぶどうパン」、『不思議の国のアリス』の「女王様のタルト」、『ドリトル先生』の「アブラミのお菓子」…つぐみの本探しと物語の菓子作りはやがて、簡単にはやり直せない過去を抱えた人々との優しい縁を結び始める。じんわり涙がこぼれる6つの連作集。
著者等紹介
谷瑞恵[タニミズエ]
三重県生れ。三重大学卒業。1997年、『パラダイス ルネッサンス―楽園再生』で集英社ロマン大賞に佳作入選しデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ちょろこ
117
優しい一冊。記憶を失くし、ホテル住まいとなり最期は行旅死亡人となった老女メアリさん。彼女が遺した本とお菓子のレシピに惹かれた主人公を軸に、本と人と心が繋がるストーリーは優しさいっぱい。言葉に心がほぐれ、ほわっと癒される感覚が良かった。ちょっと心が迷子の人たちが、お菓子を通じて光るものを見つけ、心動かされる姿はメアリさんがかけた優しい魔法のよう。悩みも苦味も経験しながら自分の誇れる居場所を見つけることが、自分の人生物語を紡ぐということなんだろうな。無邪気な姿が目に浮かぶラストも素敵。最後まで優しさが拡がる。2024/02/17
みかん🍊
100
実家が家族経営のビジネスホテルを経営しているつぐみは部屋で見慣れない児童書「小公女」を見つけ本に挟まれていたホテルの便せんに書かれたお菓子のレシピからホテルを定宿にしていたメアリさんの物らしかった、ピンクのワンピースを着てトランクとミニブタを連れた謎の老女だが急死し行旅死亡人として葬られていた、記憶を無くしていた彼女が残した英国文学書があちこちにレシピを挟まれ見つかり、気になり調べ出すつぐみは見つけたレシピを再現してみる、それぞれの作品に絡んだ優しいお話でした。2024/07/08
ひさか
91
webマガジンyom yom2022.1〜2023.2掲載の奇跡のぶどうパン、最高のつまらないもの、わたしをお食べ、遠い日のプディング、星のスパイス、からす麦の花咲く、の6つの連作短編を2023年10月新潮社刊。亡くなったメアリさんの本に残されたレシピへの想いやこだわりが、登場人物たちの心の澱みをなくしてくれるさまが、興味深く、面白い。メアリさんが残したブタのムシャムシャが楽しい。2024/03/29
ままこ
84
つぐみが見つけた古い英国児童書に挟まれたスイーツレシピ。行旅死亡人、謎に包まれたメアリさんが残したレシピメモ付き児童書は他にもあることがわかり…。スイーツを実際作ることを通して、悩みを持つ人たちのモヤモヤが晴れていく。「最高のつまらないもの」が良かった。〈大人になってから読むのもいいものよ。面白いものはいつ読んでも面白いんだから〉児童書に対するこの言葉に共感。上品な色合いのおいしそうな装丁も素敵。ましま堂の商品も食べてみたいな。幻想的でノスタルジックな余韻が残るエンディング。願いと想いが優しく沁みる物語。2024/01/22
イケメンつんちゃ
82
谷瑞恵 正月から早くも一週間 仕事にもそろそろ 急に お腹の小人がエヴァンゲリオン化 腹の痛みの原因は何か 牛乳 酸っぱかった黒豆 レンタルビデオ店 まさかあれがと念のため ウィキペディアで調べたら ありました たぶん犯人は みかん なになに ビタミンCの過剰摂取と皮が食物繊維 何事も食べ過ぎはよろしくない 単行本を読んでみました 飛龍十番勝負 第四十六弾 今回は 谷瑞恵先生 もともと狙っていた先生 サンドイッチがなかったので こちらから グルメ本かと思うも 6つの究極な素敵なストーリー ズバリのアメコミ2025/01/08