出版社内容情報
退屈な日常に絶望する高校生のカヤの前に現れた謎の少女。爪と目しか見えない彼女の正体は?小説×音楽の境界を超える新感覚コラボ!
内容説明
平凡な日々に飽き飽きとして生きる高校生のカヤ。16歳の誕生日を迎えた直後、深夜のバス停で出会ったのは爪と目しか見えない異世界の少女だった。真夜中に邂逅を重ねるうち、互いの世界に不思議なシンクロがあることに気づき、二人は実験を始める―。ああ、俺は、あの子の、英雄になれるじゃないか。大ベストセラー『君の膵臓をたべたい』の著者が描く、初の恋愛長篇!ロックバンド・THE BACK HORNの5曲入りCDが付いた先行限定版。
著者等紹介
住野よる[スミノヨル]
高校時代より執筆を開始。2015年に刊行したデビュー作『君の膵臓をたべたい』が大ベストセラーになる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
starbro
274
住野よるは、全作読んでいる作家です。本書は、近未来パレルワールド恋愛ファンタジーでした。本書はCD付ですが、図書館で借りたため、CDが聴けませんでした。図書館は、書籍とCDの貸出を行っているのに、書籍に付属しているCDは何故貸し出せないのでしょうか?納得行きません。 https://www.youtube.com/watch?v=uxeyS3GoyVU2020/11/24
黒瀬
139
分量は4割ほどだが、第2部からが本番の印象。自分たちとは似て非なる世界で生きる少女との邂逅を忘れられず、未だに引きずっている面倒なこじらせ男。当時の気持ちは本当だったはずなのに、時の流れが残酷にも表題として現れる。SFじみた世界観と青くささのミスマッチが良くも悪くも非常にじれったく、それ故に2部の「なりたくない大人」になってしまった主人公が痛々しかった。だけどあの時代は絶対に、間違いなく、掛け値なく必要だったと言える清涼感溢れる結末でした。2020/10/15
やっちゃん
84
面白い設定の謎解きを置き去りにしてまさかの恋愛主体。恋愛は最後にオマケくらいでいいと思うのだが。純文学的なひたすら自分との問答に終始する部分が退屈。突風という表現は面白かったがあの主人公にはイライラで好きになれなかった。2023/07/04
ウッディ
72
自分の人生に何の価値も見つけられなかった香弥は、夜のバス待合室で異世界の少女チカと出会い、彼女のことそして彼女と出会ったことを特別なものと思い始める。相手のすべてを知りたいという気持ち、相手のために何かしてあげたいという気持ちは、真に恋愛小説でした。くすんだ生活の中の鮮やかすぎる経験は、とても素敵なものだけれど、その後の人生に深い影を落とすのかもしれない。主人公の立ちふる舞いに共感できず、チカのその後、斎藤との未来など、モヤモヤが残り、好きな物語とは言えないけれど、印象に残る一冊ではありました。2024/02/22
mayu
71
この気持ちもいつか忘れる。どんなに強く願ったことでも、どんなに深く想ったことでも。その時と同じ気持ちを持ち続けることはできない。少しずつ薄れて形を変えていく。だけど、嘘になるわけじゃない。恥じない自分でいたいと思うからこその今があるはず。毎日を退屈に生きていたカヤは、異世界の少女チカと出会う。姿は見えなくても、恋愛がわからない世界でも、そこで二人が交わしたものはたしかに愛だったのだろう。感情を動かす突風が過ぎ去った後はただ無気力に生きるしかないのか。私はたとえ違う形でも何度でも突風が吹くと信じていたい。2020/09/22