出版社内容情報
大乱前夜の京。奪われた秘宝を追う少女・すがるが、権力者たちの邪心を斬る! 1/100秒の刹那を感じられるアクション時代小説。
内容説明
延暦寺につかえる者が住まう八瀬の山里には「八瀬童子」と呼ばれる忍びたちがひっそりと暮らしていた。ある日、次期天台座主の名前が記された秘伝の巻物が奪われ、巻物の奪還を命じられた少女・すがるは、陰謀渦巻く京の都へと向かう。疫病と飢饉に困窮する民をよそに「花の御所」で繰り広げられる権力争い。そこへ山名宗全、細川勝元ら守護大名たちの対立が絡み、巻物の探索は壮絶な忍者同士の死闘へと発展していく―。野望の陰で命を散らす忍者たちの悲哀を描く、一気読み必至の歴史エンターテインメント。
著者等紹介
武内涼[タケウチリョウ]
1978年群馬県生まれ。早稲田大学第一文学部卒。映画、テレビ番組の制作に携わった後、第十七回日本ホラー小説大賞の最終候補作となった原稿を改稿した『忍びの森』でデビュー。2015年『妖草師』シリーズが徳間文庫大賞を受賞。さらに同シリーズで「この時代小説がすごい!2016年版」文庫書き下ろし部門第一位に(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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真理そら
66
応仁の乱前夜の不穏な空気の中で比叡山から宝物が盗まれた。それを取り戻すために八瀬童子や八瀬の忍が頑張る物語。八瀬のくノ一・すがるの成長物語と絡め、伊賀甲賀ほかの忍が入り乱れた活劇のはずだが、すがるの想いが忍者としては純真すぎるためか、もたつきながら話が展開するのでモヤっととした気分で読み終えた。意外性のある結末、多くの忍仲間の死の後に残された未来への希望などが書き込まれているが、主要登場人物をもっと生き延びさせて欲しかったという読後感。2022/05/25
マムみかん(*ほぼ一言感想*)
29
大藪春彦賞を受賞されたとのことで、心惹かれて武内涼さんを初読み。 応仁の乱前夜の京都。 権力闘争が繰り広げられ、それぞれの陣営に雇われた忍者たちのバトルロイヤル。 真の黒幕にたどり着くまで、敵も味方も屍の山! 切ない!! 読み応えある、忍者ハードボイルドでした☆ 2022/02/08
信兵衛
29
忍びの技という面では読み応えたっぷりですが、本作を読み終えた時には悲哀ばかりが強く残った、という感じです。2021/01/13
もえたく
20
2022年大薮春彦賞受賞作。室町末期、比叡山から盗まれた天下に大乱を起すとされる巻物を巡って繰り広げられる忍者エンタメ小説。八瀬童子の忍者から伊賀、甲賀に、山名宗全や細川勝元などの守護大名まで登場したバトルロワイヤルは、読み応えありました。三方鬼や毒姫などおどろおどろしいネーミングも横山光輝『伊賀の影丸』好きにはたまらない。エンタメに徹した物語を楽しませてもらいました。八瀬忍者繋がりで隆慶一郎『花と火の帝』を読みたくなりました。2022/03/06
TSUBASA
17
延暦寺に仕える忍びの里から宝の守部の上忍の命とともにいくつかの秘宝が盗まれる。重宝の中にあったのは強力な呪いを持つといわれる絵巻物。八瀬のくノ一すがるは伊賀者の助太刀を受けながら、有力者たちがにらみ合いをする京の都に分け入り宝の在処と偸盗の正体を追う。戦国時代前夜の頃の話。忍びたちの鬼気迫る死闘が迫力があり、物語の背景や道具立てが非常に緻密で本格的で引き込まれる。故に安易に現代の言葉を登場させるのが没入感を削いで惜しいなと思ったところ。あと応仁の乱とか詳しければもっと興奮できたろうな。2022/07/10
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- 和書
- 袖ノ下捕物帳 文春文庫