内容説明
京都東山の自然を取り込んだ優艶な庭園で名高い詩仙堂を建てた漢詩人、石川丈山。家康の側近く仕え、大阪夏の陣に一番乗りを果たすほどの猛将だった彼が、大大名への栄進の道を棄てて、詩仙堂に隠棲したのは何故か。「尊公は日本の李白、杜甫です」と朝鮮通信使の詩学教授を驚嘆させた艶隠者の、生涯の秘密に迫る力作長篇。
感想・レビュー
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ムカルナス
10
大阪夏の陣の後、武を捨て漢詩の世界に入った石川丈山の生涯を描く。きっぱりと隠居生活に入り風流を嗜んだ人と思っていたが、仏門に入った後、儒学の道に入り、生活に困ると仕官し、紹介者の恩も省みずに出奔しetc詩の世界で認められ悠々自適の風流生活に至るまでは長かったよう。エリート学生の道を捨て戦前の中国で中国近代文学を極めようとしたが果たせず敗戦で引き揚げた著者は自分の人生を丈山に重ね、丈山の心情に共感しているが、私から見ると己に自信があった若者が周囲に迷惑をかけながら己の人生を突き進んだ物語に思える。2024/02/29
S.K.
0
再読2017/02/27
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- 和書
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