出版社内容情報
奈良・猿沢池の畔の謎めいた社。そこに祀られる采女とは何者なのか。その謎は壬申の乱の真相につながっていた。長編歴史ミステリー。
内容説明
壬申の乱の真相。平城京が秘めた謎。奈良・猿沢池の畔に鎮座する春日大社の末社、采女神社。なぜか池に背を向け、普段はひっそりと門を鎖す。古来から続く、中秋の宵の祭の二日間以外は…。編集者の橙子は、ふと目にした采女祭に奇妙な違和感を抱いた。大学助手の堀越と共に、橙子は奈良から大津の寺社史跡を巡り、手掛りを追う。その時、遂に小余綾俊輔が電話に応答した―。
著者等紹介
高田崇史[タカダタカフミ]
1958年東京生まれ。明治薬科大卒。1998年『QED 百人一首の呪』でメフィスト賞を受賞し、作家デビュー。著書多数。古代から近現代まで、該博な知識に裏付けられた歴史ミステリーを得意分野とする(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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さつき
69
猿沢池の采女まつり。そして壬申の乱をめぐる謎の数々。時代も場所も違う二つの出来事には意外なつながりがありました。奈良と近江の史跡めぐりも楽しくワクワク読みました。一つだけ疑問だったのは誠也が額田王のことを最後は皇后の地位についたと言っている箇所。倭姫王と間違えているのかしら?2021/12/15
雪紫
60
前作の前日談。「興福寺も春日大社も談山神社も、(全て美しすぎる)のだ。(()の場所は傍点)」真相前でも、この言葉にゾクッと来たのに・・・明らかにされた今となっては(白目)。前半は舞台巡り(これがなかなか読みやすい)、そして後半は謎解き。・・・殺人事件ないとさらに読みやすい不思議。興味深く、悲しい真実。その真実の真偽はともかく、ある人々にしてみれば、自分の籠城を守るためには現代でもある種の一説は、否定されなければいけないものなのかもしれない。・・・それがどうなるかはさておき。2022/03/31
ポチ
52
壬申の乱の知識が乏しく、登場人物の系譜などが中々繋がらず結構きつかった。蘊蓄は面白いので、いつかまた読まなくては。『采女まつり』見たいなぁ。2021/12/04
Ayako
45
初めて読んだ作家さん。『小余綾俊輔』シリーズの第2弾。奈良・猿沢池の畔にある采女神社の謎を解き明かす歴史ミステリーで、非常に興味深い内容だった。 神社建立の謎から、古代日本の最大の内乱である壬申の乱の隠された真実まで、作者の豊富な歴史知識が遺憾無く発揮される。他の作品も読んでみたい。2022/03/29
るぴん
38
図書館本。小余綾教授シリーズは現代の殺人事件が絡まなくていいわー♫春日大社の采女祭を調べていくと、天智天皇、天武天皇、大友皇子など壬申の乱に関する謎に行きつく。天智と天武の兄弟に関しては、色々な小説や漫画を読んでもよく分からない関係の兄弟だな〜と不思議に思っていたけれど、確かにこの説だと納得できる。小余綾先生の蘊蓄は面白かったし、采女祭を観に春日大社に行ってみたいと思った。2022/05/22