出版社内容情報
役者の朔也は、趣味で素人女性の裸を撮影している。30代主婦、40代介護士……服を脱ぐことで自らを解放した、美しい女達の物語。窒息寸前の日常から自分自身を解放した、奇跡のように美しい女たちの物語。病のため6歳の頃の体型のままで大人になった朔也の趣味は、素人女性のヌードを撮影すること。20代のフリーター、40代の介護士、そして対照的な30代の主婦二人……心を閉ざした女性たちが、人生を取り戻していく姿を鮮やかに描く。R―18文学賞受賞の『主婦病』で注目の著者による、日常と格闘するすべての人々への応援歌。
森 美樹[モリ ミキ]
内容説明
その男は、女たちの心も身体もハダカにする―病のため6歳の頃の体型のまま大人になった俳優の朔也。彼は「誰にも見せない」という約束で、女性のヌードを撮影している。20代のフリーター、40代の介護士、そして30代の対照的な主婦二人…年齢も容姿もバラバラの女たちは、なぜ彼にすべてを見せたのか?心を閉ざした女たちが再び人生を取り戻す姿を鮮やかに描く、日常と格闘するすべての人たちへの応援歌。
著者等紹介
森美樹[モリミキ]
1970年埼玉県生まれ。1995年講談社より少女小説家としてデビュー。恋愛小説を7冊刊行するも休筆。2013年、5年ぶりに執筆した「朝凪」(改題「まばたきがスイッチ」)で、第12回『R‐18文学賞』読者賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
散文の詞
147
ちょっと変わった病気の人が主人公です。 ヌードを撮影するのが、メインの話なんですが、どうして、その人はハダカを撮影されたのか、それが幸せなのか、ちょっと考えさせられます。 男性と女性では考え方が違うから、わからないと言えばわからないんでけど…。 ハダカになるなんて、ある意味、強さなんでしょうかね。 2021/05/25
夜長月🌙@読書会10周年
58
かなり毒を持つ連作短編集です。そのえぐ味に引き込まれました。5つの章はそれぞれ登場人物の名前になっています。1章目の「朔也」は低身長症で6歳児の身長しかありません。そこに関わる妻の理都子や鈴美がとても幸せそうでどんな人かとても気になりました。が、それぞれが主人公となる第2章、第4章は絶望の果てにあるような世界でした。第3章「冬美恵」は介護している桐子さんとの話。桐子は本妻の死を望んでバッハの「半音階的幻想曲とフーガ」を弾きます。毒に魅せられる作品でした。2024/06/08
あかは
37
ハダカになることで、心もハダカになり、本来の自分にもどる。4人の女がでてくるが、私にとっては冬美恵が一番読んでいて辛かった。心のガードの仕方が昔の私そっくりで、本当に辛かった。皆、心に痛みを抱えている。でも、朔也は言う。自分を愛してあげなくてどうするのか?と可哀想じゃないか、と。女性にオススメの本です。2016/09/06
なっく
31
うーん、なんかもう一つ伝わってこなかったな。男性が読む本じゃないのかな。主人公の男性が女性読者のターゲットなんだろうけど、なんか偽善家風だった。出てくる女性たちは皆見栄と嫉妬と欲望が交錯してイタい感じだし、鈴美ちゃんにいたっては壮絶な幼少期を過ごした割には素直で明るくて不自然だった。みんなもっとシンプルに自分に素直に生きていこうよー2019/12/13
Shinobi Nao
21
「自分で自分を愛せない人が誰を愛せるの。誰に愛してくれって言える?」この台詞がすべて。陳腐な戯言にも聞こえるけれど、成長ホルモン分泌不全性低身長症の男から出た言葉となると、説得力が違う。が、彼に、裸体を晒すことで心も裸になり開放されていく女達、というのは正直理解できなかった(服を脱ぐ必要性に疑問)。見た目とか病関係なく最近知り合った優しい人に過ぎないわけで、裸の写真まで撮らせるってちょっと飛躍し過ぎだと思う。2016/10/19