出版社内容情報
優しい世界が壊れ始め、世界は何度も、ひっくり返る――衝撃のミステリ。いばらに囲まれた小さな村で幸福に暮らす未明。だが「いばらの外に出てはならない」という村の決まりを破り、瀕死の少年を介抱したことから全ては崩れ始める。村の優しき指導者が何者かに殺害され、人々の疑心暗鬼が頂点に達したとき、さらなる悲劇が――。犯人は誰なのか。大どんでん返しが待ち受ける、衝撃のミステリ。?
【目次】
内容説明
いばらに囲まれた小さな村で幸福に暮らしていた少女・未明。だが「いばらの外へ出てはならない」という村の決まりを破り、一人の瀕死の少年を介抱したことから全てが壊れていく。村の心優しき指導者が何者かに殺害され、人々の疑心暗鬼が頂点に達したとき、さらなる悲劇が―。犯人は誰なのか。そして、この世界の秘密とは何なのか。大どんでん返しが待ち受ける、幻惑のミステリ。
著者等紹介
彩藤アザミ[サイドウアザミ]
1989(平成元)年岩手県生れ。2014年『サナキの森』で新潮ミステリー大賞を受賞しデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
ちょろこ
120
どストライクの一冊。舞台はいばらに囲まれた幸せ溢れる小さな村。ある日、いばらの外から瀕死の少年が迷い込み、続いて村の指導者殺害事件が起きる。ファンタジーっぽい、場所もいつの時代かも曖昧模糊な独特の世界観、醸し出される雰囲気、そしてミステリ要素も立ち込めるどストライクさに浸っていたら…。ガラっと変わりゆく景色はまるで万華鏡の世界。散りばめられたオブジェクトがくるくるとさまざまな世界を創り上げるそのさまに完全に魅せられてしまった。真実、幸せ、不安が織りなす壮大な色模様。最後に残るのはやられた感の煌めき、かな。2025/10/12
yukaring
75
彩藤さんの描く幻想的な世界観がとても好き。前作『不村家奇譚』と同じく謎多き魅力的な世界が耽美にそしてシビアに繰り広げられる。いばらに囲まれた村の少女・未明。利発な彼女は「村の外に出てはいけない」という掟を破り瀕死の少年キフカを発見する。しかしそれが村の崩壊の始まりだった…。何者かによる指導者の殺害で疑心暗鬼になり暴走する人々。犯人は誰なのか?村の秘密とは?そしてこの世界は本当に信じるに値するのか…全てが明かされた時の足元が崩れさるような衝撃と喪失感。二重三重に仕掛けられた罠にすっかりはまる幻惑のミステリ。2025/10/05
いたろう
68
舞台は、多神教と思われる不可思議な宗教が生活の中心となっている、近代的とは言えない中世のような村、村の周囲は、いばらで覆われており、いばらの向こうは荒廃した大地が広がる、凶暴な獣や竜が跋扈する禁忌の地だという。そんな村から、外の世界に行ってみたいと思っている少女と村の外からやって来た少年の2人・・・。彩藤さんの作品を全部読んだ訳ではないが、ミステリやホラーテイストの小説を書く作家と思っていたら、これはまさかの異世界ものファンタジー? 話がどう進むのかと思わせて、やっぱり彩藤さんらしいと思わせる展開に満足。2025/09/03
aquamarine
54
いばらに囲まれた小さな村。お金の概念すらない村で幸福に暮らす少女が、村の決まりを破っていばらの外に出て、瀕死の少年を拾う。彼を連れて帰ってから村は変わっていく。新興宗教によって外界との接触を断ったように見えるこの村だが、ファンタジー要素が入り、徐々にSFでもあることがわかってくる。指導者が殺害され、信じてたものに罅が入り壊れていくのが見えるとき、人々は…。ロジカルに進展する部分も多いのに、この独特な世界観には惹きこまれずにいられない。著者の作品は初読みだったが他の作品も読んでみたくなった。2025/11/06
がらくたどん
53
茨の中のその村は老いた予言者に導かれ神の眼差しに護られるように争いのない清貧な日々を紡いでいた。知りたがり屋の少女が茨の外から来た少年を連れ帰り、直後に予言者が死体で見つかるまでは。世界の「正しさ」を問うたその瞬間から玻璃の天空に亀裂が入り、信じていた世界の「正しい」繕い方も壊し方ももはや人の子には分からない。それでも貴女は壊れそうな世界を抱きしめて「最果て」のもうひとつ先の果てまで行ってみる?表紙は虹彩に揺れるミュシャの「スラブ叙事詩」。目次はエスペラント語で裏表紙は燃える朱赤。開く前から始まっていた♪2025/10/21
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