出版社内容情報
水憑きと称する一族の哀しき運命とは? そして、禁忌とされる怪異・あわこさまとは? 血と畏れが織りなす戦慄のホラーミステリ。
内容説明
「水憑き」の血を受け継ぐ不村家では、数代に一度、生前に躰を「お納め」した子が生まれる。人智を超えた才気を授かることから、一族繁栄の兆しとされていたが、一方その陰では、常に、ある怪異の存在が蠢いていた。「あわこさまは、不村に仇なすものを赦さない」。脚のない天才児、狗神遣いの少女、生首で生き存える双子のきょうだい…。あわこさまの正体、不村家を襲う悲劇との関係とは―。一族に受け継がれる異形の血脈。それは、忌むべき業か、或いは神が与えし恩寵か。頽廃と禁忌が織りなす、危険すぎるホラーミステリ。
著者等紹介
彩藤アザミ[サイドウアザミ]
1989(平成元)年岩手県生れ。2014(平成26)年『サナキの森』で新潮ミステリー大賞を受賞しデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ちょろこ
138
どんどんひきこまれた、一冊。読み終えて、あぁ、こういうの好きだわと思った。異形の奉公人たちしかいない一族、不村家。年代記形式で綴られる一族の歴史は「さんざしの犬」の柔らかな語り口調からどんどんひきこまれた。そこかしこに醸し出される異様さはちょっとグロテスクで、でもどこか耽美な雰囲気が漂う感じが好き。ぴちっ…ぴしゃ…年代を追っていくに連れて明かされていく一族の謎、それぞれの悲劇もちょっとせつなさありで読み応えあり。ほんとうにこういう一族がいたのかもしれない…なんて、つい妄想してしまう読後感も好き。2022/03/05
ままこ
86
因縁と業がとにかく深すぎる“憑きもの筋“の年代記。奇形の者ばかりを集めている旧家、不村家には「あわこさま」と呼ばれる憑きものがいて…。各世代、不穏さを纏いながら耽美さもある。切ない想いが積み重なり交差していく。それぞれ内面に静かな激しさをを抱え持っている。「月の鼓動をしってるか」はこういうパターンもあるのかとゾクっとした。一見逃れたように見せかけて続いていく怖ろしさ。護りと呪いを感じさせる装丁。よく見るとあれが…。夏に相応しい和ホラー奇譚。2023/07/26
いたろう
74
東北地方の旧家、使用人は不具者ばかりで、巷では化け物屋敷と呼ばれる不村家には、何かが憑いている。この家に憑いているのは何なのか。何故、使用人は不具者ばかりなのか。不村家の使用人である不具者の両親から生まれた、健常者の菊太郎の視点で始まる物語は、同じく不村家の使用人の千宇、そして、不村家の一族の者へと視点、時代を変えながら、憑きもの一族の歴史を描き出す。「昭和少女探偵團」シリーズが、ライトなミステリで、このまま、こういう作風が続くのかと思ったが、やはり著者は、幻想・ホラー小説がいい。今後も、この路線を期待。2022/02/15
雪紫
70
憑き物筋の年代記・・・憑き物筋は三津田さんでいくつか読んでたけど、昭和がほとんどだったので、時が経てば解放・・・なんてことは、なかった。令和にまで続く血脈と罪の物語。読んでてぬめぬめしたものがまとわりつく。一部百合かな?と思うのは・・・多分気のせい。最後があれなのは、あれなんだろうな、絶対。2022/03/31
あっちゃん
63
とある憑き物筋の年代記!妖しさと不可解な出来事に翻弄されて迷いながら読了(笑)何世代も、になると頭の中で家系図や関係図を辿りながら、ちょっと苦戦!書いておいてくれればいいのに( ̄▽ ̄)2022/04/14
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