出版社内容情報
河川敷で猫と暮らす柳さんは、ある日「野良ビトに缶を与えないでください」という看板を見た。格差、貧困の問題に迫る新鋭の力作。「生きてるうちは、生きなきゃなんねぇからな」怒りと希望に満ちた世界を描く問題作。河川敷で猫と暮らす柳さんは、アルミ缶を集めて生活費とキャットフード代を稼いでいる。あちこちでホームレスが増えてきたある日、「野良ビトに缶を与えないでください」という看板を見つける。やがて国ぐるみで野宿者を隔離しようとする計画が……。ほんの少しだけ未来の日本を舞台に、格差、貧困、差別の問題に迫る新鋭の力作。
木村 友祐[キムラ ユウスケ]
内容説明
河川敷で猫と暮らす柳さんは、ある日町で「野良ビトに缶を与えないでください」という看板を見た。やがて国ぐるみで野宿者を隔離しようとする計画が…。ほんの少しだけ未来の日本を舞台に、格差、貧困、差別の問題に迫る新鋭の力作。
著者等紹介
木村友祐[キムラユウスケ]
1970年青森県八戸市生まれ。日本大学藝術学部文芸学科卒。2009年『海猫ツリーハウス』(集英社刊)で第33回すばる文学賞受賞。12年「イサの氾濫」で第25回三島由紀夫賞候補、14年『聖地Cs』(新潮社刊)で第36回野間文芸新人賞候補、16年『イサの氾濫』(未来社刊)で第38回野間文芸新人賞候補となる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ナミのママ
64
野良ネコならぬ野良ビト。河川敷に住むホームレスをさしています。多摩川河川敷をもじった地名が並ぶのに、最初は懐かしさを覚えました。ホームレスが生活する河川から見える、富裕層が暮らす塀で囲まれた敷地と、2年後に迫ったオリンピックらしきスポーツ祭典。国をあげて野良ビト追放運動。現代社会をミニ世界にまとめたように思える風刺のきいた内容なのですが、読んでいるとかつての「プロレタリア文学」のようなメッセージ性を強く感じます。それが最後、なんだか急転して視点が変わってしまい、私にはちょっと残念に思えました。2016/12/03
いたろう
51
河川敷で暮らすホームレスたちに対して、「野良ビトに缶を与えないでください」とは、まるで野良ネコ扱い。そして、ホームレス=野良ビトに寄り添うのは野良ネコばかり。最近、街なかでホームレスの姿を見ることが少なくなったと思っていたが、それは、ホームレスが減ったのではなく、街なかを追われ、違う場所に移っただけだったのか。そして、日本では、ますます彼らの居場所がなくなっていくのだろうか。フィクションとして始まった話は、やがてルポルタージュのような様相を呈して。これは、決して絵空事の話ではない。あり得べき物語。2017/01/19
tosca
27
河川敷で暮らし「ムスビ」という猫の世話をするホームレスの柳さんの目線で物語は進む。近くに高級タワーマンションが建ったのを機に排除されてゆく河川敷の住人。「野良ビトに缶を与えないで下さい」という貼り紙から始まり、ボウガンでネコを狙ったり、ドローンによる嫌がらせ、最終的には柵で隔離され暴力により排除されようとする。勿論、勝手に住み着くのは良くないし納税も出来ていないかもしれないが、そんな隙間でしか生きていけない人々を理解しようとする努力をすべきではないか。見て見ぬふりはいけないと強く思う、読んでいて辛かった2025/04/06
pohcho
22
河川敷に暮らすホームレスを描いた物語。ゲートで仕切られた高級住宅地のタワーマンションに暮らす富裕層。二年後に控えたスポーツの祭典。行政による野宿者一掃計画。近未来の世界を描いているが、とてもリアルに感じられる内容だった。実際、近所にホームレスがいたら嫌な気持ちになるし、難しい問題だとは思うけど。こんな世界にだけはならないで欲しいと思う。2017/01/24
チェアー
22
「生きる」には成功も失敗もない。生きることは生きること。そこに価値があり、それ以上でもそれ以下でもない。「よき生き方」を他人に勝手に決められて、押し付けられてたまるか。2017/01/24
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