聖地Cs

電子版価格
¥1,496
  • 電子版あり

聖地Cs

  • ただいまウェブストアではご注文を受け付けておりません。
  • サイズ B6判/ページ数 195p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784103361312
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0093

出版社内容情報

原発二十キロ圏内にある牧場で東京からボランティアに来た女性が見たものは──。被災地を真正面から見つめて描く新鋭の話題作。

土Cs、草Cs、木Cs、水Cs、空気Cs、牛Cs、そして──、わたしCs。新鋭の渾身作。わたしは、もう、イヤなんです。死なせるのはもう。だから、なかったことには絶対しない──。原発事故による居住制限区域内で被曝した牛たちを今も飼い続けている牧場で、東京からボランティアに来た女性が見たものは──。原発事故問題を真正面から見つめて真摯に描いた表題作と「猫の香箱を死守する党」の二篇を収録。

内容説明

原発事故による居住制限区域内で被曝した牛たちを今も生かそうとする牧場で、ボランティアに来た女性が見たものは―「聖地Cs」。非正規雇用で働く男性が「猫が苦しむ社会は、ヒトも苦しむ社会」だと切実に思うまでの日々を描いた「猫の香箱を死守する党」。現代社会の問題を真正面から捉えた二篇を収録。

著者等紹介

木村友祐[キムラユウスケ]
1970年青森県八戸市生まれ。日本大学藝術学部文芸学科卒。2009年「海猫ツリーハウス」で第33回すばる文学賞受賞。2012年「イサの氾濫」で第25回三島由紀夫賞候補となる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

この商品が入っている本棚

1 ~ 1件/全1件

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

カレイ.シュウ

63
福島の実在する、原発事故で取り残された牛を生かし続ける人たちが運営する牧場へ、一人の主婦がボランティアにいく。夫からのモラハラをうけ苦しむ自分と、家畜でもペットでもない牛達が重なる。原発事故、格差が拡大し右傾化する社会の生きづらさも描く。作品の重さは時代の重苦しさの反映でしょう。そうした中でも主人公達は一歩踏み出す。2020/06/03

アマニョッキ

51
「聖地Cs」Cs=セシウム。原発事故後の汚染地域で牛を飼い続けるひとたちのお話。「猫の香箱を死守する党」かわいい飼い猫と非正規雇用と歪んだ政治。読んでいるあいだ中ずっと、人間ってどうなのよ…?の思いがつきまとう。あまり書くと過激なことになりそうなのでばっさり割愛しますが、地球の王様になったつもりで胡座かいているといつかどでかいしっぺ返しがくるんじゃないかしら。2019/09/27

南雲吾朗

47
「聖地Cs」は小動物を介して語られる原発。放射能汚染された家畜を取り巻く人々の人間模様。実際にあるような書き難い事をズバッと書いて人の醜い部分を描いている。人間が関与しなくても、自然の状態で牛たちは生きて行く。人間の思惑や仕組みに当て嵌めようとするから不和が生じる。生命の在り方を考えさせられる作品だった。「猫の香箱を・・・」は猫の感性での社会とのかかわり方、猫を介してひずんだ社会性を描き出している。荒れゆく社会。虐げられる弱者。ふつふつと湧き上がる狂気。最後の数行には戦慄する。他の作品も読みたい。2019/03/09

yumiha

28
同時収録の『猫の香箱を死守する党』に猫好きの針がビビッと動いた。ネコジャラシを猫草として与える場面やリードを付けての散歩の場面など、読み友さんの姿が浮かぶ。猫と戯れている場面は、甘々過ぎて恥ずかしいくらいだった。ストーリーは、猫も人間も粗末に扱われる社会への怒りとして展開される。タイトル作『聖地CS』は、被爆牛を生きのびさせるために被爆牧草などで飼う居住制限地域の牧場の話。被爆牛の生態描写が生々しい。こちらも、牛とともに人間も粗末に扱われていることの怒りがテーマである。どちらも重い。2016/10/16

ハチアカデミー

18
福島の希望の牧場をモデルにしたフィクション作品で、仕事を辞め、夫婦関係にも問題を抱える女性が、牧場で3日間ボランティアをする話。かつて学生運動に関わっていた牧場主が、苦しみと怒りを抱えつつ活き活きとした姿で描かれるなど、ある種の誠実さを感じさせる。社会や人間関係の中で虐げられた存在であると自覚する主人公が、震災後に社会全体から抹殺されなかったことにされつつある牛に己を重ねる。やがて狂気につつまれ女は変身を遂げる。冒頭に引用があるように『苦海浄土』の影響を感じさせる。続編を書くとのことなので、今後に期待。2015/05/09

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/8198859
  • ご注意事項

最近チェックした商品