出版社内容情報
書物とは地質学的時間と歴史的時間を結んで生じた、大いなる変身の産物である――電脳化されてもなお遺る、魅力の本質を探る。
生命と記憶の集積として、電脳化に抗して生き続ける、書物の魅力の本質を探る。〈書物〉とは地質学的時間と歴史的時間を結んで生じた、大いなる変身の産物である。原初の〈書物〉を求めての探索は、記憶の種子を孕む叡智の森へ、惑星地球を包む孤高の氷山へ、地層を成す琥珀に眠る虫たちを沈黙とともに宿す洞窟へ――生命の変身と連鎖の物語を、変幻自在な〈書物〉の魂として追体験し、その力を語り継ぐ。
内容説明
きのうは琥珀だったあすは蝶になる…。私たちの掌で、精神の内奥で、ゆたかに変身しつづける本の自徐伝。
目次
瓦礫と書物
種子のなかの書物
前‐書物としての「ノート」
にもかかわらず、(書物の)生を
沈黙という名の書物
記憶の蝶よ語れ
本の流刑地にて
想像の氷山へ
パリンプセストとしての洞窟
琥珀のアーカイヴ
著者等紹介
今福龍太[イマフクリュウタ]
1955年東京生まれ。文化人類学者・批評家。東京外国語大学大学院教授。2002年より遊動型の野外学舎「奄美自由大学」主宰(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
sibasiba
15
書物それ自体についての本。電子化について、災害で消失する本、植物としての本、前・書物としてのノートや日記、静物画に漂う死の気配、騒音と沈黙について、情報加算的でない「書く」という行為、『1984』を無邪気に改竄改定した億面なさについて、そして琥珀のアーカイブ。ひどく肌に合う文章で、内容も刺激的だったがなんと感想を書けば良いのか。時間を置いて再読しよう。これは好きな本だ。2014/08/08
しし丸
1
「書物」に携わる人、また、これからそういう仕事をしたい人は、3,456円出してでも読んだ方がいい一冊。今福龍太という恐ろしい才能と、書物という概念に触れることができる。2016/08/15
Orange
1
作者の視線を通して、それまで見えなかった姿を次々と表す書物たち。文字通り、書物が変身していく。人間の知性のもつ豊穣さ、変容可能性を、書物を通じて再発見する物語。再読確定。2014/09/17
ゆずな
0
大学時代のゼミの先生の本。今更ながらしっかり読んだ。全体的に難しいけど、多方向から書物を指していて構成がしっかりしたものだ。2020/02/20