出版社内容情報
離縁ののち縁結び屋を始めたおえんの元に、十年間も行方不明の息子が帰ってきたとの知らせ。嬉しいはずなのになぜか心が動かず……
内容説明
不貞の濡れ衣により婚家を追われ、芽吹長屋で縁結び屋を名乗る、おえん。旧友と二枚目戯作者の仲を調え、安堵した折に驚きの報せが。十年も行方知れずの息子・友松が帰ってきたのだ。若者へと成長した友松には、目印の珍しいホクロが確かにあった。が、おえんにはこの子が友松と思い切れぬ何かがあり―。粋に描き出す江戸の人間模様。人情時代小説決定版!
著者等紹介
志川節子[シガワセツコ]
1971(昭和46)年、島根県生まれ。早稲田大学第一文学部を卒業後、会社勤務を経て、2003(平成15)年「七転び」で第八三回オール讀物新人賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
いつでも母さん
154
シリーズ2弾目。行方不明だった息子『友松』が生きていた。子を思う母・おえんの思いが切ない。連作6話、みな大人だなぁ・・おえんを挟んで丈右衛門と辰平のやり取りが微笑ましい。2020/03/05
タイ子
79
ご縁の糸が結ぶ男女の仲。婚家を追われたおえんが仲人をしながら生活する芽吹長屋。それにしても簡単に独り者同士を結び付けちゃうのね、と思った次第。10年行方不明になっていたおえんの息子が突然帰って来た騒動もあるがそれも落ち着いた頃、本当に息子が見つかったと知らせが。今の時代に生きている者には納得の行かない結末。でも、それがまかり通った時代だったんですね。母も子も哀しいご縁の糸。シリーズは続くのかな。2020/06/27
kei302
37
よろずのご縁結びマス(あ~変換されない)。おえんさんの物言いがかっこいい。訳あって友松だと名乗り出た笹太郎にかけた言葉「離れていても、物語のもつ力で大内儀さまの心をなぐさめることはできる」事件?解決の手腕も見事で、惚れ惚れします。しゃきしゃき爽爽していて、ときどきオロオロ/カッカする姿も人間味が感じられていい。2019/11/08
信兵衛
27
肌触りのよさ、前作でも書いたことですが、亡き北原亞以子作品の味わいを彷彿とさせます。2019/11/13
ドナルド@灯れ松明の火
21
おえんのシリーズ2作目。行方不明になった友松が見つかるがそれまでの伏線回収が何だか持って回った感じがした。 次作は、縁結びに邁進してほしい。2019/12/03