出版社内容情報
「死刑になるため」に９人を殺傷した男。前代未聞の犯罪者と30回以上も面会し苦脳する記者が、真の贖罪とは何かを問う壮絶な記録！
死刑制度は誰のためにあるのか？ 最高刑の根源を問う犯罪ドキュメント！ 「自殺は失敗すると痛いだけ。確実に死にたい。そうだ、死刑になろう」。自ら望んで“極刑になるため”に、９人を殺傷した男。執行は、彼の歪んだ欲望を満足させるだけではないか――わが国犯罪史上、前例のない「動機」に戸惑い、30回以上も本人との面会を重ね、苦悩しつつ対峙する記者たち。真の贖罪とは何かを問う壮絶な記録！
内容説明
「自殺は失敗すると痛いだけ。確実に死にたい。そうだ、死刑になろう」。自らの意思で“極刑になるため”に９人を殺傷した男。刑の執行は、彼の歪んだ欲望を満足させるだけではないのか―わが国犯罪史上、前例のないケースに戸惑い、苦悩する記者たちが、３０回以上も本人との面会を重ねた壮絶な記録。真の贖罪とは何かを問う！
目次
第１章 執行
第２章 面会
第３章 事件
第４章 対峙
第５章 「砂漠の家族」
第６章 死刑
終章 事件が遺したもの
1 ～ 1件／全1件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ゆみねこ
72
死刑になりたいから人を殺した。この自己中心的な犯人に憤りを感じたと同時に、なぜこのような人物が出来上がったのか、彼の家庭環境に興味をもったので手にした１冊。父親も母親も、子育てを誤ったとしか思えません。被害に遭われ、何の落ち度もないのに命を奪われたり心と体を傷つけられた皆さんのことを思うと言葉も出ない。丹念に犯人のもとを訪れ、文章にまとめた記者の努力には敬意を表します。2016/12/12
shikada
25
「死刑になりたい」と望み、駅でナイフを振り回し9人を殺傷した通り魔が死刑になるまでの記録。結果として、犯人に反省の態度が見られず、遺族感情を考慮して死刑となる。問われているのは「死刑を望む重罪人に、死刑を与えるべきか？」という問題。ただこの凶悪犯に対して、現行の刑罰では死刑以外の選択肢はとりえないようにも思う。無期懲役にして、もし釈放されたら「殺人は蚊を殺すようなもの」と考える犯人は、同じことを繰り返す可能性がある。ただ、それ以外にも考慮すべき点が多々ある。「死刑」の抱える課題を共有できる一冊だった。2019/09/15
千穂
24
大切な人がある日突然命を未来を理不尽な加害者に奪われたら。その犯人は自分は生きる意味がないが自殺するのも怖いから殺人を起こし死刑になるという目的であったら。記者が金川との丁寧な面会を通して見えてくるものの混沌とした世界があまりにもおぞましく思えた。金川には生きて罪を償ってもらいたかった。2017/02/24
おかむら
15
この事件、秋葉原の影に埋れて詳細よく知らなかったけど、犯人の動機がこんなに自分勝手だったのね。幼稚な尊大感にイラっとする。よくまあ30数回も面談したものです。記者の方もかなりストレス溜まったでしょう。女性記者の方の本音に納得。育った家庭が砂漠のようだったようです。が、父親母親に関してはこういう家庭はそこまで特殊なものではないと思う。けど犯人の兄弟姉妹4人の仲の悪さはなんかすごい！これは特殊だよね？ちょっとビックリ。2014/05/13
冬憑……(ふゆつき)
12
例えば、最愛の子供が、親が、兄弟が、夫が、妻が、心から愛する人物が突然命を奪われたら…あなたは犯人に対して何を思うだろうか。しかもその動機が「この世に絶望して死にたいが、自殺は痛いので嫌だから死刑になる為に殺した」のだとしたら。果たして此れ程の地獄はあるだろうか。金川真大はいわゆる「かまってちゃん」であり、世の中を舐め腐り人間を舐め腐り、自己を肥大させ続ける。本書を読みきっても残念ながら希望は無い。只々冷たい事実が、重く心にのしかかる。ただ唯一、考える時間があるという事が希望なのかもしれない2016/11/14
