内容説明
情緒と機能性。本当の居心地の良さとは?住宅建築の名手が追求する普遍的な家のかたち。立地・広さ・間取りからコスト・寿命まで家を建てる前に知っておきたいこと。近作8軒の写真や手描き図面も収載!
目次
1 進化した巣の姿
2 小さな家の魅力
3 “パッシブ”な家の魅力
4 本当の財産とは
5 住宅の寿命
6 懐かしい未来に向けて
著者等紹介
堀部安嗣[ホリベヤスシ]
建築家、京都造形芸術大学大学院教授。1967年、神奈川県横浜市生まれ。筑波大学芸術専門学群環境デザインコース卒業。益子アトリエにて益子義弘に師事した後、1994年、堀部安嗣建築設計事務所を設立。2002年、“牛久のギャラリー”で吉岡賞を受賞。2016年、“竹林寺納骨堂”で日本建築学会賞(作品)を受賞。2017年、設計を手がけた客船“gunt^u(ガンツウ)”が就航。同年、「堀部安嗣展 建築の居場所」(TOTOギャラリー・間)開催(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
アキ
78
自然の中での人間の居場所が建築だとすれば、「進化した人間の巣」と言えるのではないか。小さな木造の住宅が建築の基本。著書の設計したベーシックハウスの数々をたくさんの写真で紹介しているのだが、見ているだけで癒される。風通しがよく、広々としていて、動線に回遊性があり、しかも高断熱高機密で暮らしやすそう。パッシブデザインとは自然風土を活かすデザイン。どこか懐かしい未来を創造するという姿勢に共感と応援したくなる。著書は京都造形芸術大学大学院教授。マンションのリノベーションとかは、これからの需要がたくさんありそう。2020/07/14
yyrn
23
毎日入ってくるハウスメーカーの折り込みチラシに見慣れた目にはとても贅沢な家ばかりだ。家主の様々なリクエストや周辺の景観や環境、家族構成などに応えた(建築家である著者の設計した)8軒がテーマ毎に紹介され、著者の住宅に対する思い入れが存分に語られて、なるほどなとうなずくことばかりだったが、自由度が高く日本の風土にマッチした伝統的な木造住宅を勧め、懐かしさを感じさせる家を目指すと言いながら、和室のある家は4軒のみで(うち一軒は茶室)、和室部分の写真が一枚もないのはなぜ?もはや和室は日本住宅に必要がないとでも?2020/07/24
ponnnakano
7
作品集ではなく、タイトル通り堀部さんの考える「住まいの基本」についての本でした。さらっと読めてしまうけど、もう一回じっくり読んだほうがいい。書かれていることにはどれも納得なのですが、中でも「本当の財産とは」の章は身につまされる。「人は得ることには敏感で、失うことには鈍感です。そして本当の財産は決して失ってはならず、失う前からその価値の大きさを知り、失わない方法を考え続けなくてはなりません。」2019/06/02
taverna77
5
2021年度都立高校入試に、P116~P120の17行までが出典として出されていました。著しい人口減時代を迎え、我々は今ここで立ち止まって、「変えるべきこと」と「変えなくてもいいこと」を整理すべきだと言います。そして人の五感のすべてが実体として集約している建築こそは、動かずじっとして、慣れ親しんだ変わらない価値を示すべきものでなければならないと説きます。それがこの第六章のタイトル「懐かしい未来」という不可思議な言葉に表れています。前段の各章も素敵な実例と示唆に富んだ一冊です。都教委もいい本見つけたな。2021/02/28
あきこ
5
小さな家の魅力、というところに共感。家はまさにそのくらいが心地いいと思う。そして木造ということ、日本ならではの在来工法は時間をかけてこの風土で磨かれた素晴らしい技術なんだと思う。しかし家を建てる、というのは現実問題予算とは切り離せず泣く泣く妥協、というのが世の常。本書で紹介されている家の暮らしになじんでいる姿は心癒される。私は次に建てるなら?という妄想をよくやるのだが、本書でもたくさんの良いアイデアをもらえた。2020/08/09