出版社内容情報
一九に馬琴、写楽に北斎。蔦重の店、耕書堂で才能の開花を待つ、まだ何者でもない天才たちの苦悩と嫉妬と空元気!痛快歴史エンタメ。
内容説明
江戸最強の出版人、蔦屋重三郎。そして、才能の開花を待つ、まだ何者でもない天才たち。身も心も、自分がなりたいものになるために、捧げる日々。しかし。あるひとつの「死」が、夢追人の生活に、暗雲を…。
著者等紹介
矢野隆[ヤノタカシ]
1976年福岡県生まれ。2008年、『蛇衆』で小説すばる新人賞を受賞しデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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mike
78
耕書堂に集まった写楽、北斎、一九、馬琴等が売れる前の若かりし頃の話。首を吊った女の背後に見える事件性を疑った彼等が探っていく話の中でそれぞれの人物像を浮き上がらせる。読み物としては面白いのかもしれないが、私が読みたかったのはこういうのじゃなかった。もっとひとりひとりを掘り下げて蔦重との絡みを知りたかった。特に序盤はワチャワチャ感が強すぎて今ひとつ話に入って行けなかったな😒2024/03/29
真理そら
61
ミステリー要素が一九、馬琴、北斎、写楽の個性を書き分けるために効果的だ。まだ世に出ていないが青春というには薹が立ちすぎている年齢の四人を描いた物語。北斎はこの時はまだ独身だったのね、などと思いながら読み終えた。2021/04/08
がらくたどん
54
なんだか好い感じのカバーが付いて文庫になっていたので♪とにかく口八丁な戯作者志願幾五郎(十返舎一九)が行き倒れ寸前で転がり込んだ江戸で評判の書肆には絵にかいたような破天荒キャラの絵師鉄蔵(北斎)・硬くて重い戯作が書きたくて常に悶々としている下駄屋の婿養子琑吉(馬琴)・絵心を持て余す根暗でコミュ障の小藩お抱え能役者斉藤十郎兵衛(写楽)らがたむろしていた。蔦屋重三郎が営む書肆耕書堂を舞台にした若き絵師や戯作者の卵達の破天荒で無我夢中の青春群像劇。それぞれの表のキャラクターが裸にされて行く過程がひりつく秀作♪ 2024/11/15
TakaUP48
53
幾五郎が、蔦重の前で「戯作者になりてえ」と行き倒れて転がり込む。が、転がり込んでいたのは鉄蔵と瑣吉に十郎兵衛。耕書堂に絡む江戸期のトキワ荘。鉄蔵の長屋の隣部屋の長唄師匠が首を吊る。何やら通っていたのは、近々大店の娘と祝言を挙げるという薬種問屋の若旦那。サスペンスも織り交ぜて、話は進むが、幾五郎は十返舎一九、鉄蔵は北斎、瑣吉は馬琴、十郎兵衛は写楽になったという。我が部屋には、歌麿にケチョンケチョンに貶された写楽の、あの不思議な手をした「鬼次」が飾ってある。この絵の逸話を知るのもまた楽しきなり!の本でした。2021/07/11
かんらんしゃ🎡
36
▼章立てでびっくり。其之壱、其之弐...。壱弐参は知っている。オレも祝儀袋の裏に書く。が、肆陸漆ってなんだぁ。手書きで小切手切る時にも使わなかったぞ。う~む、さすがに江戸の書肆と言うべきか。▼北斎・一九・写楽。人物像は魂を入れる作家次第だろうけど耕書堂に集まる面々はみな癖ツヨだねえ。軽口のたたき合いが落語読んでるふうで、揃いもそろってとんちき野郎ばっかしだぜ。全捌章弐百肆拾玖頁也2024/12/20
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