出版社内容情報
震災直後の岩手県宮古湾――瓦礫の海で出会った1匹のダンゴウオに希望を託し、2年間、定期的に撮影した、津波の海の再生の物語。
2年間にわたり、瓦礫に埋もれた震災の海で生きる生物たちの姿を追った、生命の物語。震災直後の岩手県宮古湾――瓦礫にまみれ、生き物の気配が絶えた海底に、たった一匹、じっとうずくまっていたダンゴウオ。親指の爪くらいの小さな体で津波の海を生き抜いたダンゴウオとの奇跡の出会いに希望を託し、その姿を追いながら、灰色だった海が鮮やかな生命の色彩を取り戻す過程を2年間、定期的に撮影した写真集。
内容説明
すべてを押し流した津波、折り重なる瓦礫の山、生命の気配の絶えた暗い海の底でダンゴウオは生き抜いた―東日本大震災の直後から2年間、岩手県宮古湾を舞台に、海中世界の震災と復興を魚の視線で撮った、海の生命の再生物語。
著者等紹介
鍵井靖章[カギイヤスアキ]
1971年、兵庫県生まれ。大学在学中に水中写真家・伊藤勝敏氏に師事し、水中写真家を志す。オーストラリア、伊豆、モルディブでダイビングガイドを行う傍ら、水中撮影に励む。1998年、モルディブより帰国後、フリーランスとして独立。1998年第15回アニマ賞受賞(平凡社)「ミナミセミクジラの海」、2003年日本写真協会新人賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
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てんちゃん
33
東日本大震災後の宮古湾の海底。瓦礫の中でダイバー達のアイドル、ダンゴウオはひっそりと生きていました。大津波の後の海の再生の様子を写真で綴った写真絵本。でも、私が写真以上に惹かれたのは著者で写真家の鍵井さんの心の変化。最初は使命感や功名心から撮影に挑んでいたようですが、徐々に、単純に地元の漁師達に再生する海の様子を見せたいという気持ちが強まっていきます。また、かつては興味の薄かった個々の海の生物の命に惹かれシャッターを押すようになります。私に海底の景色の変化よりも彼の心の変化にほっこりしました。2018/03/11
minaseh
13
ダンゴウオ初めて知った。ピンクの体と笑った形の口がとても可愛い。無機物が沈み、濁り、光の届かなくなった海で見つけた小さな命、よくぞ生きててくれた。それだけで「ありがとう」だ。震災の後の海、人工物もたくさん流れて、汚染されてないかととても気になっていた。でも、海の浄化の力は凄い!ページをめくる度に透明度が増し、光が入り、生き物が増えていく。そしてダンゴウオの産卵。厳しく辛い現実の中、最期まで卵を守ろうとするお父さんダンゴウオ、これが「生きる」という事かと、頭の下がる思いだった。海の生物の逞しさを感じた。2015/08/22
ikedama99
10
図書館から借りて読んだ本。震災直後から1年半ほどの岩手県宮古市周辺の海の底の写真。津波によって運ばれた残骸もあるが、魚たちなどの海で生活する生き物のたくましい姿もある。表題のダンゴウオもその1つ。生き物のしぶとさが、海の再生も見せてくれるようにも思う。また、撮影した鍵井さんの文章もマッチしている。考えさせられた本だった。2017/04/16
ととーとと
7
ダンゴウオの稚魚が可愛いです。 そしてダンゴウオの父親の健気な子育てに心動きました。 震災後の海が少しずつ再生していく姿は自然の美しさと強さを感じます。改めて、私達は自然の恩恵を受けて生きているんだなと気付かせてくれる写真集だと思います。2020/11/05
chietaro
5
図書館にて。ダンゴウオだけではなく、タイヤから海藻が育つ姿に、命の逞しさを感じました。透明な津波の話は初めて聞きました。命について考えさせられる写真ばかりでした。2023/12/15