出版社内容情報
急激に変わりゆく人々の姿と、過酷な歴史の記憶とを二重写しに捉える、17の断章。この街に魅せられた人気写真家による、個性あふれる名エッセイ。
内容説明
長年プラハにアトリエを構える写真家が「屋根裏」から見た、狂おしい魅力を持つ街の姿。独特のユーモアの間に街と人々への敬意が滲む、個性あふれる名エッセイ集。
目次
ニコリテスリー七番地
ホテルプラハ、神なきカテドラル
プラハの寿司/プラハに死す
プラハのP、夢を語る
旅券と国境
記念写真と隠し撮り
キュビズム建築に棲みたかった
ルツェルナ・パレスでの写真展
プロペラの記憶
黒い切手と紅い駅
シュコダ贔屓
パブロフのワイン
路面電車とチョコレート
写真機と写真機店
スデクを捨てる
新世界のカフカ
聖なる春
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Nobuko Hashimoto
27
1975年からプラハに通い、アトリエも構えてきたカメラマンのエッセイ。写真に関する専門的な話が多いのは気にならないが、個人的すぎる話や民主化前の時代への郷愁が強すぎて少々読みづらい。プラハの変化を残念がるのはわかるが、若者を見下すような表現はどうだろう… 社会主義期のエピソードは貴重。チェコの著名カメラマン、ヨゼフ・スーデクに影響を受けたそうなので、この著者の作品集は見てみよう。人物と作品は別だそうだから。個人的といえば、私もホームステイ先がプラハ6区だったので、6区推しなのは共感できた(笑)2020/03/12
蘭奢待
17
装丁もそうだがプラハをモノクロで見ているようなエッセイ。プラハの街の様子や日常が伺える。古めかしいプラハの雰囲気のなかに出てくるgoogleやらデジカメやらが鮮烈に際立つ。現代の技術や製品を便利に享受し、現代のプラハを楽しみつつも政変前の東欧、社会主義時代の暗いプラハに郷愁を覚えている。文体がやや読みにくい。2018/08/26
micamidica
8
東京とプラハを行き来する写真家の方によるエッセイ。プラハの路面電車やら、ビールやらワインやら、ヨゼフ・スデクやら、好きなトピックスが盛りだくさんで目次の時点ではわくわくしていたのが…残念なことに、全体的にナルシシズムの垂れ流しといった印象で読んでいて終始不快感がありました。それでも最後まで読み進められたのは書いてある内容自体は興味深かったからです。還暦を超えた男性が「あたし」という一人称を使うのも違和感があった。それも著者の狙いなのかもしれませんが…合わない人はどうぞお断りと著者は思うだろうな。2018/12/19
どんぐり
7
「PEN PEN チョートクカメラ日記」のブログで意気軒昂な写真家田中長徳の“あたしのプラハ”、すこぶるスタイリッシュな文章が魅力的だ。73年から80年までウィーンに住み、89年からプラハにアトリエを構えて20年余り、カメラ・アイで捉えたプラハの街から生まれた長めのエッセイ。この都市を一緒に歩いているような、そんな錯覚を覚えてしまう。「屋根裏生活がボヘミアンの象徴なら、舞台はパリよりもボヘミアのど真ん中、プラハこそふさわしい」こんなことを言える人は、日本人でチョートクさんしかいない。2012/10/26
ワッピー
5
江戸っ子?写真家の見るまま、思うままに付き合う内側目線からのプラハ・欧州ガイド。タイトルと表紙からはプラハの路地裏世界を写真で見られる本かと期待したけどエッセイ集でした。長徳さんの文章に慣れるまでにはちょっと時間がかかりました。2012/03/11