出版社内容情報
退院する患者を見送る。消えゆく命を見送る。どちらも私が選んだ仕事──「小説」でしか描けない、現役医師だけが知る、病院の現実。
『偽善の医療』『衆愚の病理』の著者が描く、医者と病院の真実! 医者だって人間だから、患者の好き嫌いは当然あるし、贔屓もすれば、外科と内科の対立も日常茶飯事。ほとほと疲れる日もあるけれど、輝く笑顔で退院する患者を、見送る。力を尽くしてもひっそりと消えゆく命を、見送る。どちらも私が選んだ仕事……。現役医師だからこそ「小説」でしか描けなかった、命の現場のいま。
内容説明
『偽善の医療』『衆愚の病理』の著者が描く、医者と病院と患者の真実。「小説」でしか描けない、現役医師だけが知る病院の現実。
著者等紹介
里見清一[サトミセイイチ]
三井記念病院呼吸器内科科長。1961(昭和36)年鳥取県生まれ。1986年東京大学医学部卒業。国立がんセンター中央病院内科などを経て2009年3月より現職。日本癌学会・日本臨床腫瘍学会・日本肺癌学会評議員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
fseigojp
18
実にエキサイティングな本であった 近藤誠理論が、なんと薄っぺらことか だまされたと思って手に取ってみてください2015/08/15
Totchang
14
医師による癌治療の最前線を(個人情報に配慮して)描いた作品。医師になることへの大変さが省略されているので、読んだ人によっては反感を覚えるかもしれない。内科医は薬による治療が主体になるので、新しい医薬品情報が重要であろうが、そこに癒着しやすい体質は否定できない。学内あるいは病院内での地位の争いも大変だろう。そんな中で医師はどのように患者に向かっているのか。なかなか面白い内容だった。2021/12/10
hushi亜子
10
三井記念HP呼吸器内科科長が書いた、ノンフィクションでは!と間違ってしまいそうな内容。 医療者、特に医者の綺麗事ではなく、本心の部分が綴られている。 これを一般の人や、まさに今癌と闘ってる人が読んだらどう思うのかな〜。 私は読んでて気持ちよかった、という表現は適さないかもしれないけど。 研究ではなく、臨床が好きな気持ちのある先生の本心は、うちらと一緒だな〜なんて感じてみたりも。 願わくば、この里見先生と磐城さんの関係、長く続いて欲しい。2014/07/04
hrmt
9
作者名がそのまま主人公名になっており、自伝的小説なんだろうか?まずは愚痴り口調から始まるプロローグに啞然とする。自虐ネタかと思われるような逸話や、身も蓋もない医療のバックヤードの心情を吐露しながら、文体はあくまでも淡々としている。それでいて、医師としての責任と覚悟を以て患者に接するその姿勢に心を揺さぶられる。希望と幻影の違いは私にもわからない。そのはっきりと違いのわからないものを「人情」という気持ちと共に引き受けてくれる相手に出逢える事は、とても幸せな事のように思えた。2015/03/21
みなず
8
一気読み。研修医は、やっぱり何もかも練習中なんだな。嘘が9でも、真実が1つあれば、本当みたいに思える。自信過剰で自意識過剰の里見先生には、主治医になってほしいような、私とは合わないような…でも、こんなプロ、お目にかかったことはない。2015/05/14