出版社内容情報
肥大した自意識に縛られ、嫉妬に狂わされた、ふたりの若い女。醜さゆえ、美しさゆえの劣等感をあぶり出した、鬼気迫る書き下し長編。
これが、私の、復讐。私を見下したすべての男と、そして女への――。一人の美しい大学生の女と、その恋人の指揮者の男。そして彼女の親友の女。彼らは親密になるほどに、肥大した自意識に縛られ、嫉妬に狂わされていく。そう、女の美醜は女が決めるから――。恋に堕ちる愚かさと、恋から拒絶される屈辱感を、息苦しいまでに突きつける。醜さゆえ、美しさゆえの劣等感をあぶり出した、鬼気迫る書下し長編。
内容説明
一人の美しい大学生の女と、その恋人の指揮者の男。そして彼女の親友の女。恋にからめとられる愚かさと、恋から拒絶される屈辱感を、息苦しいまでに突きつける。これが、私の、復讐。私を見下したすべての男と、そして女への―。醜さゆえ、美しさゆえの劣等感をあぶり出した、鬼気迫る書き下し長編。
著者等紹介
辻村深月[ツジムラミズキ]
1980年2月29日生まれ。千葉大学教育学部卒業。2004年に『冷たい校舎の時は止まる』で第31回メフィスト賞を受賞しデビュー。『ツナグ』で第32回吉川英治文学新人賞を、『鍵のない夢を見る』で第147回直木賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
風眠
839
恋と友情について話でもしようか。恋も友情もやっかいなものだよね。たとえば、どちらも近すぎるとギュウギュウで何も見えなくなるしね。「盲目」と「盲目的」は同じようで同じじゃないから、気をつけないと本当に盲目になって、真実もぜーんぶ見えなくなって、無かったことにすらしてしまえる。美しさも、いい家庭環境も、恋人も、友人も、何もかも「持っている」蘭花。美しさも、いい家庭環境も、恋人も、友人も、「持っていない」留利絵。一見すると正反対のようでいて、ふたりはとても似ている。「盲目的」な中での共依存。いや、共犯かな。2014/08/15
遥かなる想い
792
息苦しいまでの恋と友情の物語。 指揮者茂実星近と蘭花の5年間を二人の女性の視点で描く。 蘭花視点の恋は、暗く堕ちていくような不穏な 雰囲気で…だがなぜか懐かしく 心地よく感じるのは何故なのだろうか。 蘭花と留利絵…オケ部を舞台に 渦巻く女友達の嫉妬と 恋と友情の物語… 辻村深月健在を感じた、 物語だった。2016/01/03
barabara
655
蘭花は罪な女だ〜。無意識に、という一番罪深いパターン。留利絵は哀れであまりに正直すぎる女。誰だって自分が可愛い、自分が居心地よくなりたいもの。留利絵パートが一番のめり込んだな。リア充には理解できない闇かも。完2014/07/08
ダイ@2019.11.2~一時休止
567
バレバレなオチかと思ったらチョット捻ってあった。でもこの警察のタイミングはないわぁ~。2014/06/17
優愛
468
愛されたい、愛したいの。互いにとっての一番に、貴方だけの特別になりたいのに。他の子と何が違うと言うの。何故私だけが、この影から抜け出す事が許されないのでしょうか──。卑屈と謙虚は、執着と依存は全くの別物でイコールにはならないのに。貴方と言葉を交わすとね、萎れた花に水を貰ったような気持ちになった。頼られている、その甘美な花園で咲き誇った花の存在に救われた。密になればなるほど、貴方が離れていくような物足りなさにだって気付かなかった訳じゃない。それでも盲いた目は、貴方しか見えないのだと世界を閉じて、語るのだ。 2017/11/02