出版社内容情報
つばめのように軽やかに。人生も旅も――。沢木耕太郎、初の国内旅エッセイ。旅のバイブル『深夜特急』で世界を縦横無尽に歩いた沢木耕太郎。そのはじめての旅は16歳の時、行き先は東北だった。あの頃のようにもっと自由に、気ままに日本を歩いてみたい。この国を、この土地を、ただ歩きたいから歩いてみようか……。JR東日本の新幹線車内誌「トランヴェール」で好評を博した連載が遂に単行本化!
内容説明
あの頃のように、この国を、この土地を、ただ歩きたいから歩く―JR東日本車内誌「トランヴェール」の好評連載が待望の単行本化!
目次
夢の旅
縁、というもの
贅沢の効用
近くても遠いところ
皮膚が変わる
絵馬の向こう側
朝日と夕日
点と線と面
がんばれ、宇都宮線!
心の華やぎ〔ほか〕
著者等紹介
沢木耕太郎[サワキコウタロウ]
1947年東京生れ。横浜国立大学経済学部卒業。ほどなくルポライターとして出発し、鮮烈な感性と斬新な文体で注目を集める。1979年『テロルの決算』で大宅壮一ノンフィクション賞、1982年に『一瞬の夏』で新田次郎文学賞。その後も『深夜特急』や『檀』など今も読み継がれる名作を次々に発表し、2006年『凍』で講談社ノンフィクション賞を、2014年に『キャパの十字架』で司馬遼太郎賞を受賞している(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
starbro
301
沢木 耕太郎は、永年に渡って新作をコンスタントに読んでいる作家です。本書は、JR東日本の新幹線車内誌「トランヴェール」に連載されていた旅のエッセイです。何作かはリアルタイムで新幹線の中で読んでいます。改めて纏めて読むと旅情をそそられます。著者程ではないですが、若い頃は旅と言うと海外ばかり行っていました。これからは著者同様国内に目を向けて、まずは47都道府県制覇(現状40都道府県)をしたいと思います。 https://www.shinchosha.co.jp/tsubakuro/2020/10/05
Nao Funasoko
131
一夜に一篇ずつ、41篇を41夜かけて読了。 都内のあちらこちらや祖母が眠る鎌倉霊園や鶴岡八幡宮周辺などのように自分でも歩き知る街の情景を読むのは作家とレイヤーを重ねるような楽しさがあり、また、青森のようにいつか行ってみたいと願っている土地の話には背中を押される思いがある。そして、作中で幾度となく紹介される16歳の沢木青年の東北旅行についての記述はやはり作家生活の原点なのだろう。2020/07/06
fwhd8325
127
やっぱり、沢木さんはエッセイがいいなと思いました。ある時期、小説を書くようになり、どうもエッセイやルポとは違うものを感じて、作品から離れていましたが、やっぱり、エッセイはいいな。それも旅の話なら、間違いない。時に社会に警告を発し、過去の自分に語りかける。どれも心地よい世界を与えてくれるようです。2020/11/22
R
119
旅にまつわるエッセー集というか、沢木さんの思い出語りともいえる一冊だった。若い頃の旅の風景や心情を気取らない文章で記したものが多くて、読みやすいし心地よい。有名観光地にあまり縁がなかったといいつつも、そこに足を向けたときの楽しみ方、かなりの文学青年であった頃の思いとともに歩む道行きが面白く読めた。気負いと気取りがないので、読んで清清しいのがとてもよいと思えた一冊だった。2021/04/27
ぶち
115
沢木さんの国内の旅を綴った旅エッセイ。JR車内誌の連載エッセイなのでそれぞれのエッセイはたいへん短いものですが、沢木さんの文章はすっきりとしていて品があって、心地よく読ませてくれます。短いエッセイであっても、私の胸に残るお話がたくさん。その中でも、野辺山の天文台の研究員が語った宇宙人との遭遇の話は、宇宙の広さと悠久の時を感じさせてくれながらもストンと胸に収まるお話で、いたく感心いたしました。沢木さんがある編集者が遺した句を載せています。その句がまたいいんです。「花吹雪 ごめんなすって 急ぎ旅」2021/12/18