出版社内容情報
俺たちは兵隊じゃない――。南洋の激戦地に、行き先も告げられず紙一枚で土木部隊として送られた少年たち。無防備のまま地獄に巻き込まれた軌跡を辿る。
内容説明
昭和17年、国家総動員法により土木部隊として徴用された2,500名あまりの若者たち。彼ら「海軍設営隊」の任務は、ガダルカナル島において飛行場を建設することだった―。無防備のまま米軍の猛攻を受けた後、補給路を断たれた密林で餓死、病死により壊滅した彼らの軌跡。その凄絶な彷徨を、生き残った者たちの証言と、死に直面しながらも綴られていた日記をもとに辿る。軍属の目から捉え直した戦記。
目次
第1章 不沈空母
第2章 米軍上陸前夜
第3章 二人の設営隊長
第4章 飢餓地獄
第5章 丸山道を目指して
第6章 知られざる先遣隊
第7章 撤収作戦
著者等紹介
笹幸恵[ササユキエ]
昭和49(1974)年、神奈川県生まれ。大妻女子大学短期大学部卒。出版社の編集記者を経て、フリーに。企業経営者のインタビューなどビジネス関係の編集・執筆活動の傍ら、太平洋戦争をテーマにした記事の雑誌等に発表する。(財)特攻隊戦没者慰霊平和祈念協会理事。近現代史研究会(PandA会)主宰(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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yoshida
135
私の祖父の兄も軍属でした。テニアン島で散華しています。軍属とは、技術職や看護士等の一般市民が、軍に召集され必要とされる戦地で労務に就く状態と言える。兵士とは召集令状の色が違い「白紙召集」と言われる。大東亜戦争の海軍の分水嶺がミッドウェー海戦。陸軍の分水嶺はガダルカナル島の消耗戦だろう。情報収集の不足、兵站の軽視、重機不足がガ島を、「餓」島とした。本作を読んで思うのは過去と現在は繋がっているという事。大東亜戦争の敗戦後71年。先人達の多大な苦労があり今の日本がある。あの戦争を、多大な災厄を忘れてはならない。2016/08/12
アキ
6
南方の島々で土に還った戦友の尊厳を守らんがため、あえて沈黙を選び、自身の戦争の記憶までを埋葬してしまったかのようにみえる帰還兵たち。作家としての笹氏の仕事は、埋もれた歴史を掘り起こすことにおいて、ある意味で遠く南方の島々に置き去りにされた遺骨を収集するのと同じ意味を持つことのような気がしてきました。[過去]という遺骨に尊厳を持って向かい合い、土や錆を丹念に払うかのようにして、私たちの眼前に血と肉の通う生々しい歴史として甦らせてくれている今。筆者の言う「歴史の延長線上に生きる者の努め」が、心に響きます。2010/11/24
onepei
1
戦争は何でもありになる2010/09/19