私の文学漂流

私の文学漂流

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  • サイズ B6判/ページ数 209p/高さ 20X14cm
  • 商品コード 9784103242222
  • NDC分類 910.268
  • Cコード C0095

内容説明

結核に苦しみながら、小説に読みふけった少年時代。三島由紀夫に出会い川端康成、梶井基次郎に心酔した大学文芸部の頃。大学を中退して結婚、生活に追われつつ、常に「勁い文学」を志した同人誌時代―。太宰治賞を受賞し、作家としての地歩を固めるまでの長い道程を、日記、メモ等をもとに丹念に綴り上げた「文学的自伝」。

目次

第1章 読書から習作へ
第2章 大学文芸部時代
第3章 大学中退、結婚、放浪
第4章 同人雑誌と質店
第5章 贋金づくり
第6章 「文学者」の復刊
第7章 芥川賞候補
第8章 二通の白い封筒
第9章 睡眠五時間
第10章 小説を観る眼
第11章 会社勤め
第12章 危機
第13章 妻の受賞
第14章 『星への旅』と『戦艦武蔵』
第15章 太宰治賞

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

James Hayashi

35
ノンフィクションを好む自分に至福の時を与えてくれる著者であるが、この書も如何に作家がデビューし食いつないでいく事が難しいか教えてくれる。芥川賞候補に4回も推されるが、収入はなく妻の原稿料と兄の会社で食いぶちをつなぐ。時間を惜しみ往復1時間の通勤時間も画板の上で執筆したり、睡眠を削り原稿に向かう。妻の津村節子氏の方が先に芥川賞を受賞しマスコミからは叩かれ離婚話まで持ち上がったという、著者の作家として歩み出されるまでを自伝的に語られる。続く→2017/09/28

げんなり

4
全く何の予備知識もなく手に取り、購入。仕事を終え帰宅し夕飯の後に一気に読んでしまった。それほど、自分には面白かった一冊。まず、文章が良い、というか凄い。透明な、癖のない、冷静な文章。半自伝的な作品であるはずなのにこれ程までに自我の匂いのしない文章が凄いと思う。無味乾燥というのではない、自在にコントロールされた、これは名人芸だと思う。 子供の頃の作文のエピソードが最高に面白く、その後、著者が作家として大成するまでが綴られる。高見順のエピソードは泣ける。 小説も読んでみる。2020/09/07

えふのらん

1
吉村昭の記録文学を書きはじめるまでの”文学的漂流”。後年、冷い夏で反響を呼んだ氏だが、純文学を書いていた若い頃は不遇だったことがわかる。ベッドで死について語り合う様子を描いた或る幕切れ、ひょうんなことから病理解剖室を見学したことから書きはじめた少女架刑、その逆に解剖する側を描いた透明標本、どれも青年期に結核に侵された過去を追憶するような題をとっている。芥川賞候補になるも、不遇で、場所によっては「読みながら気味の悪いイヤな感じがした」と評される始末。2019/05/28

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0
何かの本で浅羽通明が言及していたエピソードを発見2014/09/10

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