出版社内容情報
この町で、妻に会えてよかった──。妻と夫、それぞれの母が相次いで逝った。二人の母を偲びつつ、夫婦の長い歳月を思う、人生の味わいに満ちた短篇集。
内容説明
100歳の母と92歳の義母が相次いで逝った。二人の母を偲びつつ、眉山を望む徳島で出会った妻との歳月を描く表題作ほか、人生の深い味わいに満ちた8年ぶりの短篇集。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
メタボン
28
☆☆☆☆ 森内俊雄の老年を迎えてからの枯淡の境地が伺える文章が滋味あふれるようで良い。ザルツブルクの旅で同行した女性が著した紀行の校正を依頼されるが、それがまるで共犯の事実を話してくれるなという脅迫とも捉えられる「モーツァルト」が一番印象に残った。火星が地球に最も近づく1年間、盲目の少女の幻影がつきまとう「火星巡歴」。アンリルソーの絵を追いかけ、家では3代に渡ってターチと名付けるインコを飼う「ジュニエ爺さんの馬車」。2022/09/26
hirayama46
5
2006年から2011年に書かれた作品を集めた短編集。もう2006年の時点で70歳を過ぎているせいか、執筆ペースはゆっくりですね。森内俊雄の本はまだ2冊めなので比較はしにくいですが、若いころに比べてメンタルは落ち着きを見せ、幻想小説的な突飛さはなくなっている感じですね。様々な文化から挿話を引っ張ってくるペダンティックとも言える作風に馴染めればすんなり読める作品集でした。文章のたたずまいも含めて、派手さはないけれど滋味のある本でした。2022/03/24
柴モモ
3
地元新聞の書評で見て図書館に予約しました。時間がたっていたのでエッセイだったか、短篇小説だったかも忘れてしまい、当然書評がどんな物だったのかも思い出せず。最初の「モーツァルト」があまりに面白く、期待が大きすぎて後半ちょっとトーンダウンしてしまいました。それでもきれいな日本語でかかれた本を読んだという清涼感があり、この著者を知ることが出来て良かったです。2012/05/31
dimsum
2
なんというが文学的というのが良いのか。詩的というか。ふわーと絵のように語られている物語集。自分には色々造詣が足りない。あと漢字が難しい。2012/01/07
ki_se_ki
1
滋味溢れる小説集。その味わいは、ちょっとした日常の、その裂け目の深みから染み出してくる。とくにラスト2篇「橋上の駅」「梨の花咲く町で」に描かれた、人生のペーソスと円熟に、しばらく浸っていた。2013/01/29
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- 和書
- レクイエム司馬遼太郎