出版社内容情報
なぜ、私の妻ががんに・・・・・。一年半にわたる闘病生活、自宅での看取り、亡き後の絶望から立ち直るまでの思いを、がん医療の最高峰にいる著者が綴った。
内容説明
定年を迎え、妻とのんびり過ごしていこうと思っていた矢先の出来事だった。わずか六ミリの影が、妻を襲った。一年半にわたる闘病生活、自宅での看取り、妻亡き後に押し寄せてきた絶望感、そして、人生の底から立ち直るまでの道のり―。日本のがん医療の最高峰に立ち続ける著者が、自らの体験を赤裸々に綴った。
目次
第1章 妻との出会い(半分になったりんご;大阪の野生児 ほか)
第2章 駆け落ち(傘一本の家出;祝福されない結婚 ほか)
第3章 妻の病(六ミリほどの小さな影;虫の知らせ ほか)
第4章 妻との対話(酒浸りの日々;三ヶ月の地獄 ほか)
著者等紹介
垣添忠生[カキゾエタダオ]
1941年生まれ。1967年東京大学医学部卒業。都立豊島病院、東大医学部泌尿器科助手などを経て、1975年から国立がんセンター病院に勤務。同センターの手術部長、病院長、中央病院長などを務め、2002年総長に就任。2007年に退職し名誉総長になる。財団法人日本対がん協会会長、財団法人がん研究振興財団理事(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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つちのこ
44
本書をもって先に読んだ続編の『亡き妻と歩いた四国巡礼日記』とリンクした。がんの専門医としての努力も及ばず、妻を救うことができなかった苦悩が痛いほど伝わってきたが、それ以上に妻がいなくなったことの空虚感が真に迫った。愛する人の死は心身ともに打ちのめされる。血のつながった肉親以上に、まるで一心同体のようにかけがいのない存在だったことが深い絶望感から見て取れた。グリーフ・ワークを実践して立ち直っていくプロセスは医師らしく客観的に分析しており、その涙ぐましい努力に感動。しかし、死は残酷だ。まだ傷は癒えていない。2025/07/19
たまきら
39
備忘録:読み友さんの感想を読んで。先日細胞学者で歌人の永田和宏氏の妻の回想録「歌に私は泣くだらう」を手に取ったところだが、この方の日々にもまた、穏やかでありながら深い愛を感じられた。医師らしく自分の辛い感情を丁寧に見つめ、同じ思いをする人々のための研究発表のようにまとめてあることに敬意を覚える。学ばせてもらえる人も多いと思う。…中高生時代の友人である嵐山光三郎さんの後書きにくすりとさせられたー友人って、やっぱりありがたいものだなあ…。2025/09/16
青木 蓮友
18
これは、、よくぞ書いてくれました、という一冊だ。さぞや辛かったろう、書きにくいこともあったろう、なのに本当に赤裸々に忠実にまっすぐに、その道のりが綴られている。か弱い男の人がたったひとりで再生していく姿がひたすらに健気で、ましてや年上女房、心配で愛しくて草葉の陰からぜったいこっそり見つめたと思う。しかしながら、年下にこーんなに愛されて、自宅できっちり看取ってもらって、正直不謹慎ながら羨ましくて仕方がない。それと、「虫の知らせ」や「鳥や蝶になって」ということを実感とともに語られているのが印象的だった。2016/09/18
舟江
13
妻の推薦本なので恐る恐る読んだ(笑)。読みやすかったが、夫婦の在り方についてもう少し詳しく書かれていた方が、良かったのではないだろうか。2019/05/06
KAZOO
7
この本は著者がラジオ深夜便ではなしていたのを聞いて読んでみようという気になりました。ラジオでは出てこない少年期などのことや、奥さんをなくされた後にかなり落ち込んだ話を読むと、自分も万が一そのような状況になったらどのような対応をしたらいいのかという参考になりました。2012/05/04