内容説明
紅旗征戎吾ガ事ニ非ズ―藤原定家の日記「明月記」の一文が、戦時下の不安な日々を過す若き堀田善衞の心を揺さぶった。以来40年この書に親しんできた著者が、乱世を生きた定家の実像を生き生きと甦らせる。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
春ドーナツ
8
前回のあらすじ。「方丈記私記」を読む前に親本をさらっておいた。***「本が違うやんけ」と私も思う。そこには深い理由がある(訳がない)。さて。藤原定家は鎌倉時代の歌人である。「明月記」は彼が60年間書き継いだ日記だ。武家政権が確立し、朝廷は存続するものの表舞台から姿を消す。本書は日記を紐解くことを通して「その頃、京都で皇族や公家たちはどのような日常を営んでいたのか」を立体的に再構築する。私にとって全く謎に包まれたゾーンだったので(謎という認識すらなかった)、大変興味深い。2018/01/28
よっし~
4
「紅旗征戎吾ガ事ニ非ズ」。現代と比べ物にならぬほど世が乱れていた平安末期。疫病が猖獗をきわめ、政治は院生末期で腐敗の限りを尽くし、元号が『明月記』56年間で22回もあらためられた。そんな時代に79歳の寿命を全うし27人の子を設け『新古今和歌集』『百人一首』を編纂した歌人の相貌に肉薄する名著。「談話室『Fika』」ミニプレゼン「わたしの『明月記』」の資料として再読。2020/09/19
いのふみ
2
堀田善衛と藤原定家の時空を越えた共鳴。「紅旗征戎吾ガ事ニ非ズ」。これをはっきり言ってもらったことで、ああ、もうOKだわ、と思った。2019/02/21
あおい
1
図書館本。和歌はからきし。でも定家への興味でとりあえず。。。明月記の定家19才から48才まで、途中欠けている年も度々あれど書き続けられ、大切に守られてきたことに畏れ入る。これは私抄で、私でもどうにか筋が追える程度には書かれててとてもありがたい。定家は二流貴族の職業歌人であって出世できないことに度々クサる世渡りベタ、けっこうなゴシップ好き、であったらしいのをゆかしく思う。平安版皇室番記者的なモノを書き綴ってて、おばちゃん魂をたいそうくすぐる。この私抄は48才まで(公卿になる一歩手前)だが日記は56才まである2018/03/22
kinaba
0
☆ 「和歌とは何か。それは、……要するに、……挨拶、という言葉が適当であろう。」 定家一人によらず同じ時代の俯瞰がずっとなされているのが読みやすくて楽しいな2012/07/28
-
- 和書
- ちょっと運のいい家政婦