内容説明
父上、ごめんなさい。聞いてもらいたかった母のことは、これで終わりです―これまで決して触れようとはしなかった父・朔太郎の詩を娘の立場から解き明かすために、突然の死の直前まで加筆を続けた遺作、緊急出版。
目次
第1部 父と詩(開業医の長男に生れて;詩集『月に吠える』と結婚;上京と母との別れ;居候二人;再び上京、そして新築を;朔太郎とおだまきの花)
第2部 父上へ
著者等紹介
萩原葉子[ハギワラヨウコ]
1920年9月4日東京生まれ。詩人・萩原朔太郎の長女。精華高女卒。著書に『父・萩原朔太郎』(日本エッセイスト・クラブ賞)、『天上の花―三好達治抄』(田村俊子賞・新潮社文学賞)、『蕁麻の家』三部作(「蕁麻の家」「閉ざされた庭」「輪廻の暦」/毎日芸術賞)など。2005年7月1日急逝
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感想・レビュー
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兎乃
31
葉子さんは この原稿を書き上げた 一月後 死んだ。父 朔太郎へ。血を吐くまでもの 言葉。2015/09/28
オワリハジメ
3
実際はもっと大変だったんだろうなあと思う。朔太郎が「僕の名前について」で書いていたように、外から見れば色々与えられて恵まれているけど、本人が望むのはまた違う次元のものだったのかも。この著者の随筆を読むと毎回思うのだけど、自分を捨てた母に会いたいと願っていたり、虐めてきた祖母の肩もみを率先してやったりととても偉い…酷い目にあっても自分を貫いている強さがあるのだなあと感じた。2016/11/23
駄目男
3
この本は簡単に言えば萩原家が崩壊していく様を長女たる萩原葉子が比較的簡略化してに描いている内容と言っていいだろう。 朔太郎には笑顔というものがない。 いや、勿論笑う事だってあったであろう。 しかし沈鬱と孤独、彼の横顔を見ているとそのイメージしか湧いてこない。 饒舌で明るく人を笑わせるのが好きだった、なんていうものは微塵も感じられない。 笑っている朔太郎の記述もやはり出てこなかった。2013/10/18
ossa
3
著者はこの原稿を書き終えてわずかひと月後に、亡くなった。「父上、ごめんなさい。聞いてもらいたかった母のことは、これで終わりです。」と締めくくられる。辛かった半生を書くことが生きることであったのかな、と思わせられる。2011/08/07
takao
2
ふむ2024/08/04