内容説明
短編連作。現代人の孤立した魂はどこで癒されるか―。自然と交響しつつ生の原質をさぐる会心の7編。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Urico
1
★★ 国語の教科書に出てきそうな話。で、何を読み取ったらいいかわからなくてつまんなくなっちゃうやつ。2020/01/27
にんにん
1
野間文芸賞受賞作品。身近な人々との間に起きたエピソードを書いている。しかし、過去に流行したいわゆる私小説という感じはない。終わりが死という重いストーリーでありながら、語り手が過剰な感情移入をせず、淡々と話を進めているためだろう。上質なエッセイを読まされながら、最後に背筋がひやりとさせられ、これはホラーだったのかとも思わされる。不思議な世界でありながら読後感の印象が薄いのは、うますぎるからなのか、作者の視点が傍観者的だからなのか…2012/01/14
ステビア
0
良いですねえ。でもうますぎるってのもわかるな。2012/11/13
まーちゃんごめんね
0
生前は「短篇の名手」として定まった声価を得ていたが、今では読まれなくなってしまった田久保英夫の連作短篇。七つの短篇は「死」の存在を中心に、花弁のように連なっている。端正な日本語で綴られた七篇は、どれも印象にのこるもので、短篇小説のお手本のような出来だ。中では、「胡桃割り」という作品が特に気に入った。「胡桃割り」という小道具の使い方も巧みだし、なにより「雛子」という芸妓がよく捉えられているからだ。この芸妓は「哀しい」。このような「哀しさ」は、荷風が描くことができなかったものである。 2024/07/31