内容説明
7人のA級戦犯のうち、唯一の文官であった元総理、外相広田弘毅。戦争防止に努めながらも、東京裁判ではその努力は認められず、絞首刑を宣告された。裁判を通じて一切の弁解をせず死を従容として受け入れた広田の生涯を、激動の昭和史と重ねながら抑制した筆致で克明にたどる。次代にまで読み継いでいきたい吉川英治文学賞、毎日出版文化賞受賞の名作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
mitei
285
本書はA級戦犯指定され死刑にされた人物、廣田弘毅が主人公。改めてこの時代の政権運営の大変さがよくわかるし、連合国の理不尽な死刑執行に腹立ちを覚える。でももっと自己主張する人であれば死刑は免れたかもしれないと思うといたたまれない。2016/07/02
シノケン
22
満州事変や第二次世界大戦でキーパーソンとされち広田弘毅首相の話。 今の世相と鑑みるても当初から外務省など外国と話や根回しをし、問題解決に真っ向から対処する姿勢の大切さを感じた。 人と人を前提とした考えや感情を含め平和的に解決する動きは素晴らしかった。 軍はもちろん必要とされるが軍が政治までに干渉して制御できなくなるのは大変になるという教訓に思える。 裏方のようです真に世界を良くするという気概に見える広田弘毅は素晴らしかった。2022/04/24
イボンヌ
5
ホンの70年くらい前に何があったのか、自分の国の事をもっと知らないといけないなぁ。東京裁判で文官としてはたひだひとりA級戦犯で処刑された、広田弘毅さんのお話しです。 昔の政治家は立派だった。2016/07/01
Kouichi Matsumura
4
決定プロセスでは反対せず、後で「いや、俺は実はあれには反対だったんだよ」ということを言えてしまう国民性が日本人の特性だとすると、最後まで沈黙で責任を取った広田弘毅は正に日本人離れした政治家だった、と思いました。2014/02/08
Kenji Ogawa
3
「自ら計らわぬ」を生死を通して貫いた広田弘毅の話。2016/08/30