内容説明
コンスタンティノープルを陥落して118年、無敵トルコは遂に負けた。しかしキリスト教諸国を勝利ら導いた海洋国家ヴェネツィアも、歴史の主要舞台だった“地中海”も、その幕を閉じ始める…。文明の交代期に遭遇した男たちの壮大なドラマを描く書下ろし読切三部作、完結!書下ろし歴史絵巻。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
むらきち
14
そんなに分厚い本では無いのに関わらず、政治の様子やガレー船の解説、街の様子まで描かれていて、全体として当時のイメージが浮かんできました。また、迫力ある海戦の描写と、名言の数々もこの本の魅力です。2015/05/09
うえ
5
地中海制圧まで後一歩だったオスマン帝国。衰亡への道 「セルバンデスも後年『ドン・キホーテ』を書かなければ彼がレパントの海戦に参加したという事実も、著名にならないで終わっていたにちがいない」「ヴェネツィアではルターもマキアヴェッリも…堂々と書店に並んでいた…同じラテン系の民族ながらスペインとヴェネツィアでは民族性が極端といってよいくらいに違っていた…ヴェネツィアにはドン・キホーテは絶対に生まれなかったに違いない」「もしもあのとき、トルコが勝っていたならば…地中海はトルコの内海と化していたであろう」2015/01/11
星落秋風五丈原
3
「なんのために戦われる?」 鎧はつけていたがかぶとはつけていないヴェニエルは、大石弓を左手にかかえ、白髪を海風になびかせながら、これも大声で答えた。 「必要だからです、殿下。それ以外はなにもない!」主人公であるヴェネツィアの海将バルバリーゴは、この海戦で戦死してしまうのですが、作品には悲劇性はほとんど感じられません。ラストシーンでは、むしろ未来に対する一すじの希望の光をさえ感じさせ、読後感をさわやかなものにするとともに、一人の海将の死がかえって深く胸に沁みます。2004/12/19
めぐみこ
3
人物ではミスター砦ことヴェニエルが印象に残ったかな。ヴェネツィア首脳部が後手後手に回ったり、うまく時流に乗れなかったりした部分がもどかしかった。つい「事件は会議室で起きてるんじゃない、現場で起きてるんだ!」がよぎった。ティントレットの大絵画が失われてしまったことが惜しまれる。2012/09/17
Kenji Ogawa
1
ベネチアがスペイン国王とキリスト教会をスポンサーにイスラム勢力をギリシャ沖で勝利し区止めた海戦。この後ベネチアの70年に渡る繁栄が訪れる。2016/01/08