内容説明
「ようやっと、ほんとうの自分に戻れる。これが人生最後の峠越えなんで…」男は淋しく笑い、足を踏み出した―つらい旅はいつ終わるのか。心やすらぐ地は何処にあるのか。約束の地はいまも変わらぬか。ついの住処をめざす男達の宿命の非情と、その幕切れを描く「最後の峠越え」ほか五篇。ひとの世の儚さ、せつなさを渇いた筆致で写しとり、心に灯をともす極上の連作集。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ぶんぶん
20
【図書館】再読 紋次郎シリーズも何とか終了。 しかし、良く続いたシリーズです、左保氏はこれまでも何度か掲載ストップを決めたそうですが、その都度、止むにやまれぬ事情で続けて来たそうです。 そりゃあそうですよね、道中物、ミステリー、回数にも限度がある。 徐々に密度が薄くなる、ダラダラ続けても仕方が無い。 まるで、紋次郎の生き方みたい。 それでも、生きて行くのが無宿人、そのままの人生のような生き方(書き方)のような作品です。 後年は切った張ったが少なくなって来た様に感じます。 しかし、寂寞感がたまらなく良い。2023/11/08