出版社内容情報
「さあ、何でも訊いて下さい」。どこかの白熱教室などメではない、伝説の感動的対話、初の刊行。小林秀雄は親切で、分かり易かった!
「さあ、何でも聞いて下さい」と〈批評の神様〉は語りかけた。伝説の対話、初の公刊! 「僕ばかりに喋らさないで、諸君と少し対話しようじゃないか」――。昭和三十六年から五十三年にかけて、小林秀雄は真夏の九州の「学生合宿」に五回訪れた。そこで行われた火の出るような講義と真摯極まる質疑応答。〈人生の教室〉の全貌がいま明らかになる。小林秀雄はかくも親切で、熱く、面白く、分かりやすかった!
内容説明
昭和36年から53年にかけて、小林秀雄が五たび真夏の九州へ出かけ、学生たちに講義をし、対話を重ねた“人生の教室”。
目次
講義 文学の雑感
講義 信ずることと知ること
講義「現代思想について」後の学生との対話
講義「常識について」後の学生との対話
講義「文学の雑感」後の学生との対話
講義「信ずることと考えること」後の学生との対話
講義「感想―本居宣長をめぐって」後の学生との対話
信ずることと知ること
1 ~ 2件/全2件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
コウメ
52
高校生の時に読んだけど途中で断念。感想かけてないので書くけど当時はどんな気持ちでよんだんだろう?2019/10/24
marco
37
小林秀雄に対する憧れは18歳のころからあったが、この本によって、やっと小林秀雄が近しい存在になった気がする。本居宣長など、批評の対象と小林秀雄が切り結んだ関係についてなど、学ぶところが多かった。それよりなにより、当時の学生が小林秀雄という「師」を持ち得ていたことがとても羨ましく思えた。2014/06/08
踊る猫
34
「語りえぬもの」に対し「沈黙しなければならない」と言ったのはウィトゲンシュタインだが、小林秀雄はぼくたちにとってのそうした「語りえぬもの」について(たとえば「なぜ生きる」「なぜ学ぶ」などの問いについて)、その問いそのものを「臓腑に落ちる」かたちで引き受けた上でそこからその問い自体を吟味しようとしているかのように見える。だからここでの小林にはChatGPTに期待されるような「歯切れのいい」答えはなく、ただその吟味からくる慎重にして丁寧な思索が展開される。それはぼくにとってはしっくり来る答えでもありタメになる2023/09/22
けんとまん1007
32
読み応えあり。一度や二度では、本当の味わいはつかめないと思う。それでも、感じられることは、とても多く深い。ここで質問している学生の方々の質自体も、とても高いものがあると思う。自分では、とてもとてもここまではと思ってしまう。それでも、小林先生に関するものは、ゆっくりであれ、読み続けていきたいと思う。この手のものは、年に何度かは手に取る必要がある。そうしなければ、ただでさえ軟な思考・心が緩んでしまう。2015/06/28
ももたろう
31
どの章も素晴らしい。本居宣長の歴史研究の姿勢には、科学的に歴史を分析しようとする姿勢はなく、信じる姿勢がある。歴史を研究するときに大切なのは分析ではなく、歴史の心と交わること。その時代に生きた人々の身になって、想像力を最大限に働かせて、親身に交わること。この姿勢に心打たれた。ベルグソン、本居宣長の「古事記伝」、柳田國男は必読だと感じた。小林秀雄の全著作を隈なく読みたいと思った。彼の著作からは、理性に頼りすぎず感性(直観)で物事を洞察していく姿勢の素晴らしさを学ばせてもらえる。心と心の交わりが、読書。2015/10/12