出版社内容情報
お別れの言葉は、言っても言っても言い足りない――。急逝した作家の闘病記。これを書くことをお別れの挨拶とさせて下さい――。思いがけない大波にさらわれ、夫とふたりだけで無人島に流されてしまったかのように、ある日突然にがんと診断され、コロナ禍の自宅でふたりきりで過ごす闘病生活が始まった。58歳で余命宣告を受け、それでも書くことを手放さなかった作家が、最期まで綴っていた日記。
内容説明
ある日突然がんと診断され、夫とふたり、無人島に流されてしまったかのような日々が始まった。お別れの言葉は、言っても言っても言い足りない―。余命宣告を受け、それでも書くことを手放さなかった作家が、最期まで綴った日記。
目次
第1章 5月24日~6月21日
第2章 6月28日~8月26日
第3章 9月2日~9月21日
第4章 9月27日~
著者等紹介
山本文緒[ヤマモトフミオ]
1962年神奈川県生れ。OL生活を経て作家デビュー。99年『恋愛中毒』で吉川英治文学新人賞、2001年『プラナリア』で直木賞を受賞。20年刊行の『自転しながら公転する』で21年に島清恋愛文学賞、中央公論文芸賞を受賞した。2021年10月13日、膵臓がんのため58歳で逝去(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ミカママ
758
満を持しての読了。「ふたりで暮らしていた無人島だが、あと数週間で夫は本島へ帰り、私は無人島に残る時がもうすぐ来るらしい」、わたしの大好きな作家さんは、病床にあっても最期までカッコよかった。もう新作は読めないが、残された作品を大切に再読していきたい。2022/12/21
starbro
643
山本 文緒、5作目です。正真正銘の遺作&絶筆、涙なくては読めない余命四箇月膵臓癌闘病終末日記でした。著者の夫の献身ぶりに感服しました。私の姉と同い年、著者の新作が今後読めないのは大変残念ですが、心よりご冥福申し上げます。私は、ガンサバイバーですが、来年著者の享年となります。 https://www.shinchosha.co.jp/book/308013/2022/12/03
Sato19601027
550
余命宣告されてからの日々を綴った闘病記。ご主人はじめ、優しい人々に囲まれるが、お客様が帰った後に身体が悲鳴を上げることも克明に記される。読書中、若くして旅だった友人たちのお葬式と辛かった記憶が急に湧きあがり涙が溢れる。父が逝ってからはより敏感で、ざわざわしながら本を読み終えた。先生の「未来はなくとも本も漫画も面白い。とても不思議だ。」という言葉が印象的だ。先生が読まれていた本と漫画を全て読みたくなる。先生の命日は10月13日。逃病記と笑いながら最後まで作家を全うされた先生に敬意を表します。あらためて合掌。2023/10/04
ジェンダー
545
どんな作品かはあまり知らないまま読みましたけど癌とわかってから亡くなるまでの日記だとは思ってなかった!日記みたいにして書かれているので読みやすい。全部は書けないだろうけど病状の事やこういう事が出来たと書かれていて自分や親がそういった状況になった時どうする事もしくはどうしてあげるのが良いだろうかと考えながら読めました!一番は自分のしたい事が出来て一緒にいてくれる人がいる事が良いのかもしれない。他の作品も読んでみたいと思うしまた歳を重ねたら再読出来ればと思います!2024/04/08
読特
515
一次会を締め、二次会を始める。後は時間の許す限り。まだ続けられるかも、と思ったところで終わってしまう。”逃病”生活5か月の日記。120日は超えられた。…「登場人物の身体のなかに読み手を入れる」とは、角田さんの評。読んでる間は日記を綴ったその人になった。余命宣告。闘病しない。緩和ケアで穏やかな毎日を過ごす。何気ない日常。でも明日は来ないのかもしれない。自らが亡き未来を想像する感覚。無人島に一人でも寂しさすら感じない。…現実の自分にまだ先はある...はずだが、唐突にそれはやってくる。最期の瞬間まで今を生きたい2023/12/19