出版社内容情報
敗戦後も中国に残り、共産党軍と戦い続けた日本人たちがいた。彼らに3年半もの死闘を強いたのは誰だったのか?元残留兵の執念が暴き出した歴史の闇。
内容説明
ポツダム宣言受諾後も上官の命令に従い、蟻のごとく黙々と戦闘に明け暮れた―。彼らに、敗戦後の死闘という不条理を強いたのは誰だったのか?祖国のために戦い、長い抑留生活を経て帰国した「蟻の兵隊」たちを、なぜ国は逃亡兵として冷酷に切り捨てたのか?あれから60年余が過ぎた今、生き残った元残留兵らの執念が、歴史の闇に葬り去られた驚愕の事実を暴き出す。
目次
序章 蟻の兵隊たち
第1章 終戦
第2章 密約
第3章 軍命
第4章 偽装解散
第5章 死闘
第6章 壊滅
終章 真実
著者等紹介
池谷薫[イケヤカオル]
1958年、東京生まれ。同志社大学文学部美学及び芸術学専攻卒業後、テレビ・ドキュメンタリーのディレクターとして数多くの番組を演出。89年の天安門事件以降、中国での取材活動を積極的に展開。97年、蓮ユニバースを設立。監督デビュー作の長編ドキュメンタリー映画「延安の娘」は、ベルリン国際映画祭をはじめ世界各国で賞賛される。二作目となった「蟻の兵隊」は、封切り前から話題となり、記録的なロングラン上映となった(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ゲオルギオ・ハーン
22
中国国民党軍と駐留日本軍上層部の密約により終戦後も4年間、中国共産党軍と戦った悲劇の兵隊たちのことをまとめた一冊。共産党との内戦を見越し日本軍を手駒として使えないか画策する国民党軍の閻錫山将軍、保身のために閻錫山の提案に乗った澄田将軍。そもそもGHQどころか旧陸軍も認めていない計画なので杜撰に展開し、屁理屈をこねながら強行していく様子はとても見苦しかった。脅されたり、直属の上官への義理などで残留を強いられた兵たちは帰国しても4年間の戦いを認めてもらえず苦しい思いをしたのが気の毒でならない。2024/03/06
seki
19
第二次世界大戦後も、現地日本軍と中国との密約により、中国内戦で戦わされた日本兵達の話。ノンフィクションであることに驚愕した。当時の現地日本軍トップはこの密約に積極的に関与したとかしないとか諸説あるが、天皇の名において降伏したにもかかわらず、家族のもとにも帰れず、戦死していった者たちに対する罪は有り余るほどではないか。兵達は自らの意思で残ったという幹部もいたという。上官の命令は絶対と教えられた時代に、自らの意思を言えた者がどれだけいただろうか。不幸な史実で済ませられたら、兵達が浮かばれない。2021/01/25
furu_sato_sf
1
戦後残留は上官の戦犯回避のための実質的な命令だったにも拘わらず、召集解除扱いとして取り扱われたという事はもちろん見過ごすことのできないものであり、またその事実に間違いはないと思われる。ただ、命令されて残った日本兵達が命令内容と実際の違いに疑問を感じながらも、その場の役割を果たすために今村司令を中心に壊滅まで戦ってしまったといいう事実は、上が出した間違った方針を、いつまでも下の人間が修正しないという日本人の本質的な弱点も見せてしまっているのではないか。(戦時中という特殊要因はあるが)2018/02/19
ゲリノビッチ
1
第二次世界大戦終結後、上官の命令で中国内戦を戦い、帰国後に逃亡兵として扱われた事件の真相を扱った本。 いろいろある戦争の悲惨な話の中で個人的に1番衝撃的な本でした。
キミ兄
1
基本的に下級将兵の立場から書いているので、現地での召集解除がどこまで措置されていたのかは今となっては藪の中だが、某日銀総裁の父君の回想の手前勝手さはあまりに醜悪。当時のエリートにもノブレスオブリージュの意味がわかってない人がいたんだ。☆☆☆。2014/07/04
-
- 和書
- ちばの鉄道一世紀