内容説明
彼が死んだのは、暖かい春の陽射しが射し込む、穏やかな朝だった。十年と八ヶ月一緒に暮らしたというのに、それはとてもあっけないお別れだった…ぎじゅ太が死んでからというもの、僕は毎日を呆然と過ごした。僕の薄い膜の中に入って来れるのはみャ太だけだった…こいつは長生きするだろう。これから先、ずっと長い間可愛がって、二人仲良く暮らしていけるはずだ。でもそうはならなかった。おそらくこの時すでに、彼の身体の中では異変が起こっていたのだ。独身ライターとその小さな家族の、愛と孤独の物語。
目次
第1章 葬送の日
第2章 猫の神様
第3章 発病
第4章 通院
第5章 一進一退
第6章 絶望
第7章 戦い
第8章 最後の日々
第9章 猫の神様、再び
著者等紹介
東良美季[トウラミキ]
1958年神奈川県生まれ。國學院大學文学部哲学科卒。編集者、グラフィック・デザイナー、アダルトビデオ監督、音楽PVディレクターを経て、現在はライター(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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扉のこちら側
4
ちょうど飼い猫を看取ろうとする日々の中で読んだ。今もあの子の手触りとともに、読んだ日々を覚えている。2008/12/18
みい君
2
最後は泣き通しでした。猫ちゃんとのお別れは辛いけれど、沢山のものも残してくれるんだなと少し救われた気がしました。2017/06/28
カエル氏
1
看取るまでの不安や葛藤に共感。何がベストか確信はなくて…最後は自分との闘い。2021/10/16
cazyoboo
1
こんなに泣いた本は後にも先にもこの1冊。2013/07/05
charuko
1
AVライターであり、五十間近の著者が、小さな猫たちの生死に向き合う様子が切ない。2009/04/28