出版社内容情報
暴力の味、郷土への想い、そして祈り。文壇へのデビュー直前に、迸るような筆で書かれ、小川文学の全貌が記された、未発表作品集!
「僕は煉獄にいる」──デビュー前の若き文学青年は、苦闘を続けていた。青春の逡巡と煌き、暴力の味、郷土への想い、そして祈り。『アポロンの島』が日本の文学界に衝撃を与えようとしていた前夜、煉獄のごとき逼塞感のさ中で推敲が重ねられた作品群には、未来の小川文学の全貌につながる世界のすべてが、ほとばしるように芽吹いていた。「新潮」掲載分に更に二編を加えた、作家修練時代の未発表作品。
内容説明
『アポロンの島』が日本の文学界に衝撃を与えようとしていた前夜、煉獄のごとき逼塞感のさ中で推敲を重ねられた作品群には、未来の小川文学の全貌につながる世界のすべてが、ほとばしるように芽吹いていた。作家修錬時代の未発表作品集。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
fuchsia
1
この人の作品はキリスト教の知識がないとなかなか難しいのかと思ってましたが、戦時中の体験を題材としたものはふつうに悩める青少年物として読めました。自殺を考える精神状態を分裂気味にかつ客観的に書いた短編が良い。2012/11/23
東隆斎洒落
0
昭和2年静岡県藤枝市生まれの著者の未発表作品集。 表題作の著者が「19の時」は、終戦直後の時代背景。 そこには、自殺願望のある友人と、それを見守る別の友人と自分の三者が描かれているが、病弱で小学校にも一時通えなかったことや、高校時代に神経衰弱に陥っていた自分の過去が、そこに投影されているようにも見えて、どう解釈してよいのか奥が深い。全般を通じて、どれも未発表だけあって、文章や文脈に推敲不十分な箇所あり。キリシタンとしての著者の宗教的思想も読みづらくしている感のある一冊。私にはちょっと難しかった。2013/01/14