内容説明
「早く死ね、自分で死ね!」二〇〇三年六月、全国ではじめて「教師によるいじめ」と認定される事件が福岡で起こった。問題の小学校教師は、担任児童を自殺強要や凄惨な暴力でPTSDによる長期入院に追い込んだとされ、「殺人教師」とまで報じられた。だが後に、この一連の事実は、児童両親による「でっちあげ」だったことが明らかになっていく…。親の言いなりになる学校、妄信するマスコミ、医師、550人もの大弁護団…病める教育現場で起こった驚愕の冤罪劇。
目次
序章 「史上最悪の殺人教師」
第1章 発端「血が汚れている」
第2章 謝罪「いじめでした」
第3章 追放―停職6か月
第4章 裁判―550対0の不条理
第5章 PTSDごっこ、アメリカ人ごっこ
第6章 判決―茶番劇の結末
終章 偽善者たちの群れ
著者等紹介
福田ますみ[フクダマスミ]
1956年横浜市生まれ。立教大学社会学部卒。専門誌、編集プロダクション勤務を経て、フリーに。犯罪、ロシアなどをテーマに取材、執筆活動を行なっている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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も
69
クレーマーやモンスターペアレンツなんて言葉では済まされない事件だ。そもそもの発端は原告の両親による学校への抗議だけれど、校長や教育委員会は教諭の言い分をろくに聞かぬまま体罰を認めろと言う。マスコミに至っては教諭や校長が漏らした言葉を婉曲する、事実関係を調べないままほぼ原告両親の証言のみで記事を書き公表する。550人にものぼる弁護団も冤罪を疑う者がいない。PTSDの診断をした医者も本人の症状を直接見ることなく診断書を書く。こんなことが実際にあったなんて信じられない。教師とはこんなにも立場が弱いものなのか…。2016/02/25
そうたそ
64
★★★★☆ 事実は小説よりも奇なりと言うが、こんな事件を知ってしまうとまさにそう思ってしまう。生徒に対するいじめ行為、更には自殺強要までし停職処分となった「殺人教師」だが、真相は実は――という事件。モンスターペアレンツ問題は昨今では数多あると言えど、ここまでひどいものはないだろう。更にひどいのはあまりに怠慢としか思えない学校現場。ちょっと調べれば虚偽だとわかるようなことが全て真実だとまかり通ってしまっている。マスコミの誤った偏向報道にしても、結局名誉回復はされぬまま。その意味で本書は相当意義深い。2016/09/13
きさらぎ
63
この事件のことは知らなかった。本を読む限り、「殺人」事件ではないし、単にモンペが起こした騒動のように思える。一方の言い分しか取材せずに騒ぎを大きくした週刊誌の罪は大きいし、”ことなかれ主義””とにかく謝ってしまえ”という学校側の対応はひどい。こんなんじゃあ、心を病んでしまう教師が増えるのは当たり前。しかしこういう親って、何がしたいんだろう?理解に苦しむ。2016/09/26
wonderhoney
46
この事件は知らなかった。というか、全国的にも話題になっている様なので、リアルタイムで報道を見聞きしていた可能性はあるかもしれないが、記憶にない。報道される全てを鵜呑みにする危険さは、いくら報道機関が意識して公平に報道しようとしても、現在も受け取る側も意識しておかなければならないことだろうな。しかも、最近はコメンテーターとか芸能人が事件を自分の意見を踏まえてコメントしている姿をよく見かける。受け取る側が意識して疑問をもっておかなければならないと改めて考えさせられた。2016/11/27
かおりんご
45
他人事ではありません。話を勝手に捏造なんてありそうで怖い。特に子供なんて、自分の都合のいいように親に話すんだから、教員側が事実を伝えても、親が『うちの子がいじめられている!』と騒ぎ出すことなんて往々にして起こりうることだし。ニュースは疑って見なきゃいけないなと思わされました。あ、ちなみに、私は教員になってから、ずっと訴訟保険に加入しています。まだ幸いなことに、使ったことはありませんが。人の振り見て我が振り直せ。親に迎合しないで、やってないことははっきり伝えようと思います。2017/03/19
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