個人的な体験

個人的な体験

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  • サイズ B6判/ページ数 251p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784103036166
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0093

内容説明

ノーベル文学賞受賞。異常をもって生まれたわが子を抱える青年の魂の遍歴、絶望と背徳の日々―。新潮社文学賞受賞の名作。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

こまり

24
大江健三郎の本を初めて読んだ。なんか凄い。圧倒された。60年程前に書かれた本だからなのか、今とは違って表現がかなり自由だと感じた。言い回しが難しく読めない漢字も多かったけれど読み応えがあった。鳥(バード)と呼ばれる主人公に異常を持った子供が生まれ、その子を死なせるかどうかの決断を迫られた数日間の絶望と背徳の日々を克明に綴った小説。その行動と心の葛藤がすさまじかったが、最後の決断に人というものに対する希望が込められてるのだろうか。2023/02/19

メルコ

9
予備校の講師をしている鳥(バード)と呼ばれる男と妻にできた赤ん坊には頭に障害があった。赤ん坊を大学病院に移し、鳥は女友達の家に行き泥酔する。鳥は赤ん坊を葬り去ろうと躍起になるが…。著者が実生活での光さんの誕生という出来事から生まれてきた作品。実体験を元にしても私小説にはならず、性的放蕩する主人公は読者を挑発する。しかしそれまでの大江作品とは明らかに違う。小説を書くことで現実を乗り越えていこうとする著者の姿がみえてくる。小説を書くってどういうことなのという問いへのひとつの答えでもある。2024/01/29

色々甚平

9
鳥(バード)は赤ん坊ができた時、もしくは以前から、その生活にうんざりしていた。赤ん坊は障害を持ち先が長くないということを知って鳥は喜ぶ。だが、そう言いながらもずっとそれでいいのかが頭の中で引っかかり続ける。バードが人生で大きな岐点として何を受け入れ、何を捨てて生きるかを頭の中で引っかかって考えてしまう。一方、赤ん坊について何も知らない嫁は正論を鳥にぶつける。義母の動揺ぶりからして嫁も姿を見ていたら、発言が変わっていたかもしれない。バードの選択が成長かはわからないが人生初めて決断をした瞬間だったであろう。2018/01/29

no5uke

5
障害を持って生まれてきた自分の子供を生かすか殺すかの選択。それは、鳥を取り巻くあらゆる諸問題を包み、凌駕していくもので、まさに個人的な体験といえる文章だった。2022/01/16

リーマン男爵

0
脳ヘルニアのわが子を生かすも殺すも地獄の父&死は異次元への移行と信じる情婦の物語。父が突然、考えを変えた動機が理解できず、物語として性急に事を収めた感が否めない。果てはヘルニアではなく万歳の結末!。2024/03/30

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