出版社内容情報
世界中から来た36人の作家と小説を読み、議論をし、街を歩き、大統領選挙を経験した作家が感じた現在のアメリカを描く連作小説集。アメリカにいるから、考えること。そこにいないから、考えられること。2016年11月8日、わたしはアメリカで歴史的瞬間に居合わせた、はずだった――。世界各国から作家や詩人たちが集まる、アイオワ大学のインターナショナル・ライティング・プログラムに参加した著者が、英語で議論をし、街を歩き、大統領選挙を経験した3ヶ月。現地での様々な体験から感じたことを描く11の連作小説集。
柴崎 友香[シバサキ トモカ]
著・文・その他
内容説明
世界各国から作家や詩人たちが集まる、IWP(インターナショナル・ライティング・プログラム)に参加した著者が、不得手な英語で話し合い、街を歩き、アメリカ大統領選挙を目撃した三か月を描く小説集。
著者等紹介
柴崎友香[シバサキトモカ]
1973年大阪府生まれ。2000年に刊行されたデビュー作『きょうのできごと』が行定勲監督により映画化され話題となる。07年『その街の今は』で芸術選奨文部科学大臣新人賞、織田作之助賞大賞、咲くやこの花賞、10年『寝ても覚めても』で野間文芸新人賞、14年に『春の庭』で芥川賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
404
柴崎友香さんが、1986年度にアイオワ大学で毎年開かれるIWP(International Writing Program)に参加した時のことを綴った連作短篇を集積したもの。初出は文芸誌「新潮」などに発表されており、一応は小説なのだが、エッセイのように見える。そこで考えてみたのだが、全てのテキストはフィクションであるという立場に立てば、これはやはり紛れもない小説だ。作中で作家自身も何度も日本語で書くことについて考察している。外に出ることで相対化した自己や日本語での言語行為を見直す貴重な機会になったようだ。2022/02/13
巨峰
87
世界中から作家や脚本家が集まり3か月を共に過ごすアイオワ大学のインターナショナル・ライティング・プログラム(IWP)に参加した小説家が主人公の連作短編小説集。一見エッセイって思ってしまう内容なんだけど、ページが進むにつれて柴崎さんの言葉や感性がどんどん研ぎ澄まされていく。イメージがあふれ出す。彼女の良作の小説を読んだような感覚を覚えたのでやはり小説なんだろうな。それは、きっと、対象に対する捉え方だったり姿勢だったりで違ってくるんだろうな。2018/10/24
hiro
81
大学生のある一日を描いた『きょうのできごと』が好きで、柴崎さんの作品を読みだした。この本も新刊の小説として図書館で借りたが、小説だと言われないとエッセイとして読んだだろう。毎年世界各国の作家や詩人が集まる、アメリカで開催されるプログラムに柴崎さんが参加し、その三か月間のできごとを小説にした短編集。作家達との交流、アメリカでの生活、大統領誕生直後のニューヨーク、訪れた戦争博物館など、主人公トモカが経験し、感じたことを小説にしているので、柴崎友香という作家を通して現在のアメリカを知ることができる小説だった。2018/09/22
なゆ
75
エッセイな様で、トモカが主人公の小説のような、そんな不思議な読み心地。世界各国から作家を集めて三ヶ月間様々な活動を共にするというIWP(インターナショナル・ライティング·プログラム)がアイオワ大学である。そこへ参加した柴崎さん自身の見て聞いて感じて考えたモロモロ。プログラムの話も興味深いが、33カ国からの参加者たちとの英語が通じたり通じなかったりな雑談も淡々と面白い。これだけいろんな国の人と交流できる場ってすごいな。部屋運が悪いと嘆いたり、グイグイ行けずに様子見な感じは私もそうなので、勝手に親近感。2019/05/13
アマニョッキ
65
柴崎さんの最新作は、小説というよりも柴崎さんの日記のような作品。世界各国から作家や詩人が集まって共に学ぶIWPに参加した三ヶ月を綴った連絡小説。柴崎さんの眼を通したアメリカの風景、トランプ大統領誕生の日、そして柴崎さんが毎日毎日「言葉とはなんだろう?」と思考を巡らせる姿。どれもこれも素敵すぎてたまりません。特に最終章の「言葉、言葉、言葉」はもう。意味わからんけどずっと涙が止まらないぐらい良かった。柴崎さん、間違いなく言葉に愛されてる作家さんやと思います。ま、負けんぐらいわたしも愛してますけど。2018/08/01